ムルアカ ニッポンをきく22 - 作家 曽野綾子さん

曽根綾子
■できることをする
 「ムルアカ ニッポンをきく」のゲストは作家の曽野綾子氏。ムルアカ氏が日本の母と慕い、アフリカに一緒に取材旅行する旧知の間柄。
アフリカなどへの支援活動や今後の執筆活動など、話題は多岐にわたった。

ムルアカ氏 きょうは誕生日(9月17日)おめでとうございます。早速ですが、日本財団の会長を辞められて3年以上になります。現在はどのような生活をしていますか
曽野綾子氏 日本の組織は辞めてから相談役や顧問のような肩書でつながりを持つ人が多いですが、私はきれいに終わりにしました。カトリックの契約の精神でしょうか。それでもいまでも財団のいろんな方と会っているんですよ。辞めるときに、若い新聞記者から「これからどうするんですか」と聞かれたのです。9年半財団の会長をしていたので、若い人は私が作家だと知らなかったんですね。それまでも作家でしたし、これからもずっと作家で行きます、そのほか、海外邦人宣教者活動援助後援会(JOMAS)というNGO活動を続けていくことになるでしょう、と言ったんです。
ムルアカ 曽野さんはいつもアフリカやアジアの現地に出かけることはすばらしいことですね。その目的は
曽野 JOMASには毎年、8000万円から1億円の寄付をいただきます。そのすべてが1つの労組を除いて個人の寄付です。このお金の使い方は正確でなければなりません。私たちの会は使う人がはっきりとしていますから監査ができるのです。子供たちの給食用の肉を買った肉屋に領収書が欲しいといえば、もらえるのです。それと、責任が取れる日本人が何年も現地に常駐していることも条件の一つです。援助はできるだけをして、それを大事に使うことを心がけています。
ムルアカ シスターのなかには日本人がとても住めないような山の中で暮らしている方もいます。そこを訪ねることができるのは神様がくれたエネルギーなのでしょうか
曽野
 私はいい信者じゃないんですよ。主人と結婚するときにもいわれました。いいことをすることは感じが悪いから、いいことはしない方がいいって。悪いことをしてくださいといわれるのも難しいけど、そういうことをいわれると、気が楽になるんですね。
ムルアカ JOMASも長く続けていると大変なことも多いと思います
曽野 お金だけは正確にしなければなりません。ユダヤの格言でこういう言葉があります。「お金は1人で扱ってはならない」。だから2人よりも3人。みんなで扱うようにしてますし、公認会計士も参加しています。
ムルアカ 曽野さんの後継者を考えることはありますか
曽野 10年前から準備しています。私たちは30歳から始めて40年くらいたちました。みんないつ脳溢血(いっけつ)になってもおかしくない年代ですから。それで私たちの一つ下の世代の50代後半の方が4人、次の世代を3人くらい育てています。みんな聖心の後輩で、ただで働くことをなんにも思っていない人ばかりです。だから私がいつやめてもいいのですが、いろんな体験があるので、もう少し籍を置いていてもいいのかなと思っています。
ムルアカ 残念ですね。後継者の私の名前が出るかと思っていました。JOMAS以外でこれからしたいことはなんですか
曽野 来年は「アフリカレポート」を連載します。私が見てきたことを基に、日本人とアフリカ人はどこが理解できて、どこを学ぶべきか、明確に書こうと思っています。ほかには最近、非常に興味を持っているエボラ出血熱をテーマにした小説と私の年にふさわしい「死について」。この年なると、いつまでも持ち時間があるわけではないですから。
ムルアカ 「死について」はいいですね。いま日本では自殺者が本当に多いですが、アフリカでは生きたくても生きられない人が数多くいます
曽野 あるとき、アフリカの子供がひょうそうだと思いますが、痛くて痛くてたまらないようなんです。私たちに薬をくれと言うんです。でも痛みを止める薬もない。日本人は痛みを止めてもらうこともできない人がいる、今晩のご飯が食べられない人がいることを知らなすぎます。極端な話をすれば、自殺する前にアフリカに行けばいい。そうすれば、わかるんじゃないですか。
ムルアカ 以前、アフリカに同行した人がハンセン病の人を見て気持ち悪いといったのを聞いて驚きました。大学教授ですよ
曽野 ずいぶん前からインドなどのハンセン病の施設などに行きましたが、感染しないのも知っていましたので、私はなんでもないですが。私は末期のエイズ患者のところに行きますと、お金をあげてきます。子供を抱えた母親は、自分が死んだら何を食べていくのか心配でしょう。でも母親にもプライドがあるから、同行者にみんなアメ玉をくださいと言って、お菓子の包みを作るの、その中にお金を一緒に入れて渡すのです。末期になると、とにかく体がだるいみたいですね。だからあんまをしてあげます。私、あんまはうまいのよ。すると、あっちももめとか、こっちももめとか。それくらいしかできないから。人間できることしかできないのです。南アフリカでホスピスを作った根本昭雄神父が最初に会に支援を頼みに来たのは、霊安室が欲しいからでした。ホスピスは2人部屋で、亡くなったら遺体を布で巻いて、そのままベッドに置いていると、同室の人が嫌がるというのが理由でした。そういう小さなことでも、できることからすることです。
ムルアカ 最後に嫌いな話題とは思いますが、福田首相が辞任したりした日本の政治や政治家についてどう思いますか
曽野 申し訳ないですけど、小説家とは小なる説を唱える職業ですから政治家のことはまったく分かりません。ものごとにはミクロとマクロがあるのです。政治家は新聞記者にいじめられすぎだけど、新聞記者にいじめられることに耐えられない人はならなければいい。小説家も政治家もなりたい人がなればいいと思いますけど。連載小説だって途中で止めちゃいけないんですよ、もっともうちの夫は妻1人も幸せにできない人が1億2000万人を幸福にすることができるわけがないと言っていますけど。でも、世の中ではだれかが政治家にならなければならないですから。辞任後の福田首相が記者会見を拒否したというのはいけませんね。少なくとも任期中は前にも増してきちっと務めを果たすべきでしょう。それが契約というものです。(構成・将口泰浩 撮影・緑川真実)

【会想録】 ■尊敬する日本の母
曽野さんとご主人の三浦朱門さんは子供たちの洗礼の時の代理父母になって頂いています。家族同様のお付き合いをさせて頂いています。特に曽野さんはアフリカの恵まれない方々のための貧困プロジェクトを長くやっていてアジアでも同様にカトリックのシスター達と命をかけて頑張ってこられました。また、ハンセン病やエイズ患者のホスピスなどの活動もされてきて、大変尊敬しております。

【プロフィル】曽野綾子
その・あやこ 1931年、東京生まれ。聖心女子大学卒。夫は作家の三浦朱門氏。70年「誰のために愛するか」で新風賞、98年「ほくそ笑む人々 昼寝するお化け 第三集」で日本文芸大賞、2003年文化功労者。産経新聞に「透明な歳月の光」を連載中。

ムルアカ ニッポンをきく13 - 民主党 鳩山由紀夫さん

鳩山由紀夫

「ムルアカのニッポンをきく」の今回のゲストは鳩山由紀夫民主党幹事長。
対談したのは福田康夫首相が退陣表明した翌日の2日午前。鳩山氏は辞任のニュースをコンサート会場で聞いたという。鳩山氏は「驚きました」といつものように淡々と話していたが、政権奪取の好機に意欲満々。
自民党総裁選、解散総選挙、連立政権と対談もいつになく熱を帯びた。

◆政治は命がけで
ムルアカ 福田首相が突然、退陣表明をしました。安倍前首相と違い、健康面は問題ないにもかかわらずです。その理由に小沢一郎民主党代表が会ってくれないというのもありました
鳩山由紀夫民主党幹事長 憤りを禁じ得ません。こじつけの理屈でしょう。いままでもねじれ国会になったことがあり、民主党は野党としてできることをしているだけです。法案成立も協力できるものは協力していました。政治は命がけで取り組む仕事ではなくなったのかという思いです。
ムルアカ その通りです。首相は命がけでやらなければならないはずです。北朝鮮の拉致問題もそうです
鳩山 日本が北朝鮮を本当に追いつめて、ときの首相が北朝鮮に乗り込んで、命がけで全員取り戻すくらいの気構えがないと進展するはずがない。首相はそれも投げ出してしまった。
ムルアカ 自民党総裁選挙は対小沢代表ということを想定した形で進むと思われますが、小池百合子氏、麻生太郎氏…。民主党や小沢代表がやりにくいのはだれですか
鳩山 小沢の相手、自民党総裁がだれになろうとも関心がありません。次の内閣は選挙管理内閣ですよ。民主党としては相手がだれであっても一喜一憂することはありません。自民党はだれがトップになっても、新しい総裁が誕生したら、支持率がアップするでしょう。その瞬間に解散総選挙をすることは想定しています。でも、国民はここまで生活が悪化したのは自民党政権だったことは肌身に染みて、分かっているはずです
ムルアカ 総選挙は日本の歴史上大きな転換期になると思います。その後は政界再編が待っていると思います。民主党と公明党との関係はどうなるでしょうか
鳩山 次の総選挙で第一党になるのが一番大事ですが、連立政権になった場合、いまの政権と距離を置き、自公政権を倒すために戦っている政党の国民新党や新党大地の鈴木宗男先生や社民党があげられると思います。第一党になり得なかったときというのは選択肢にありません。
ムルアカ 自民党だけでなくこの大切な時期に新党に走ったり、離党する議員が出るなど民主党も揺れていますが
鳩山 確かに、民主党の中にも自民党に近い人もいるし、なかには小沢代表に不満を持っている人もいます。そういう不満のはけ口として、自民の誘いに乗ってしまっていると思います。麻生さんが先頭になってやっているといわれていますが、自民党は参議院議員の切り崩しを盛んにしています。でも、比例代表で当選した議員が離党するなんて、法の不備から生まれたものでしょう。比例代表は個人の議席じゃなくて、民主党の議席です。
ムルアカ 私は小泉内閣からすべてが悪くなったと思っています。政治がワイドショー政治になってしまいました。ところで中国に席巻にされてしまっている対アフリカ政策はいかがですか
鳩山 先日、コートジボワールの大使と面会しましたが、中国にやられっぱなしで、日本の存在感がないと話していました。これはアフリカのどこでも起きていることだと思います。日本は今後、中国並みの協力をしていく必要があるでしょう。将来のアフリカにとって重要な問題です。これまで日本は米国に寄りすぎていました。日本が中国にODAを出しているにもかかわらず、それがアフリカに流れています。日本はもっとアフリカに目を向けないと、世界中に中国の色がついてしまうことになってしまいます。
ムルアカ アフリカ政策を外務省だけでやるのは難しいです。私は立法府のなかにアフリカシンクタンクをつくることを提案していますが、どうでしょうか
鳩山 立法府になるか所管がどこになるかわかりませんが、そういう考えもあるでしょう。外務省、経産省、農水省といろんな省庁が協力していくことが重要です。


◆「友愛」の遺伝子
ムルアカ 先日、弟の邦夫さん(鳩山邦夫前法務相)と対談しましたが、今回の自民党総裁選でなにかアドバイスはありますか
鳩山 アドバイスを聞くかわかりませんが、同じ九州ということで仲がいいのか、これまでも麻生さんの選挙参謀のようなことをしていました。今回は違うということなく、筋を通せと言いますね。でも、自民党に戻ってこういう状況になってよかったのかということは自分自身が一番わかっていると思います。
ムルアカ 自民党に戻って一緒にやろうというかもしれませんよ
鳩山 いまさら自民党に戻るという選択肢はありません。弟も、いまこれだけ地球環境問題がクローズアップされているときですから、多く同志を募って環境新党をつくればいいと思います。
私たちには祖父(鳩山一郎元首相)の理念である「友愛」というDNAが流れています。このたび弟とともに、人材育成を目的にした「鳩山友愛塾」を設立しました。2人はどこにいても、共同歩調を取れると信じています(構成・将口泰浩)

【会想録】
□兄弟の連携に期待
鳩山幹事長はいつも冷静に淡々と行動をしている政治家です。 両兄弟とは長く良いお付き合いをさせていただいている仲です。両兄弟が党を越えて国民の生活を守るためにしっかり頑張って頂きたいと願うばかりです。

【プロフィル】鳩山由紀夫
はとやま・ゆきお 東京大学工学部卒、スタンフォード大学博士課程修了。祖父の鳩山一郎元首相、父の鳩山威一郎元外相と政治家一家に育つ。1986年旧北海道4区(現9区)から出馬し初当選。93年新党さきがけ結党に参加。96年民主党を結党、代表に就任。98年民主党、民政党、新党友愛、民主改革連合の4党により(新)民主党結党。99年同党代表に就任。2005年同党幹事長に就任。61歳。東京都出身。

ムルアカ ニッポンをきく21 - 評論家・ジャーナリスト 田原総一郎さん

田原総一朗
■自民ひっくり返れ
 「ムルアカ ニッポンをきく」の今回のゲストは評論家でジャーナリストの田原総一朗氏。
「朝まで生テレビ!」などの出演を通して、旧知の2人。福田康夫首相辞任、麻生太郎自民党新総裁誕生、解散総選挙間近と政治が変わる潮目とあって、対談は白熱した。

◆国民に不信感
ムルアカ 「朝まで生テレビ!」に出演させていただきありがとうございました
田原総一朗氏 ぜひまた出てください。
ムルアカ 今日は日本の政治についてご意見をうかがいたいと思いますが、まずは危機的ともいえる政治状況についてどう思われますか
田原 今の日本が抱えている一番厄介な問題は、国民が決定的なまでの不信感を持っていることです。安倍(晋三)さん、福田(康夫)さんと2年続けて内閣をほうり出しています。国民が政治に不信感を抱いています。日本は戦後40年にわたり高度経済成長を続けてきました。企業はどんどんもうかり、それで歳入が増えたんです。国庫に金が入るときは政治家も官僚も楽。国民に利益を分配する際にも、減税や福祉、道路建設などの費用は税金で間に合っていたわけですから。だから国民は金権政治が行われても必要悪のようなものとして扱い、政治を信頼してきた。ところが歳入が減ってきた。2007年度は歳入が50兆円なのに歳出は80兆円。30兆円近く足りません。企業なら倒産しているところです。国は(歳入不足を)国債で借金して賄うわけですが、これは健全ではない。普通の企業はもっと営業して売り上げを増やせと発破をかけるところですが、国の“営業”は増税しかない。ところが国民は増税に反対。増税すれば選挙に負けるから(自民党は)怖くてできない。なら歳出を減らすしかないというので福祉や年金、医療費を減らすから、国民は悲鳴を上げているわけです。これが現状です。

◆世襲が最大問題
ムルアカ 今の状況を見ていると政治家の資質にも問題を感じます
田原 国のために政治をやりたいという人は自民に入れない。世襲議員で占められているから。若い人はほとんど民主党に入っている。いいんです、ここで自民がひっくり返れば。民主にも問題はありますけど、世襲は自民最大の問題。世襲議員の首相は戦後、鳩山(一郎)さん、宮澤(喜一)さんといましたが、橋本(龍太郎)さん以降は全員が世襲議員。その意味では政治家の力が弱まってきたといえます。
ムルアカ 世襲政治家は「KY」で政治の流れが読めない
田原(政治家自体が)流れを読む必要がなかったんですね。日本は戦後、米国の子分で行こうと決めて、80年代まではそれでよかった。中国やソ連の子分でなくてよかったとは思いますよ。戦争で焼け野原になって金も技術もないないづくしでしたが、米国が日本を共産主義に対する橋頭堡(きょうとうほ)にしようとしていろんなものをくれた。米国が自衛隊を(海外に)出せといっても、「あなたの国が押しつけた憲法だから(行けない)」といえば自衛隊は危ない場所に出なくてよかった。日本は冷戦の厚い壁をまるで透明人間のようにすり抜けて、東欧あたりでも「共産主義はいいですね」などと言って世界中をマーケットにしてきた。主体性がなくても成功できたんです。でもそのことの弱点が2000年以降出始めていると思います。
ムルアカ 福田首相の突然の辞任についてはどうみますか
田原 彼は内閣改造前に辞めたいと漏らしていました。森(喜朗)さんらが「今辞めたら何も(実績が)ない。サミットをうまくこなせば支持率が上がるかもしれない」と説得しましたが、上がらなくてまた辞めようとした。(サミット直後に辞めたら)恥さらしになるということで、嫌々改造したんです。
ムルアカ でもすぐ辞めてしまった
田原 福田さんはとてもいい人で紳士です。でも闘う志が全くない。闘うのが嫌いなんですよ。選挙なんて一番嫌いだから。私も福田さんは無責任だと思います。ただ(辞めたら)国民が怒ると思っていたのに、辞めてから自民の支持率がすべてのメディアの調査で上がっています。普通は落ちるはずなのに。国民はよほど福田さんが嫌いだったのかも。逆説的に言えば、とてもいいタイミングで辞めたといえるかもしれません。福田さんが辞める2週間前にお会いして、「アジアが不況に苦しんでいる今こそ日本がアジアを再建すべき」と言ったら、福田さんは「それは外務省の話ですか、経産省ですか」というんです。「経産省ですよ」といったら、「二階(俊博)さんに言ってくれ」と。「ご自分でおっしゃってください」と返すと、今度は「電話しますが、田原さんが説明してください」というんです。やる気がないと思いましたね。
ムルアカ 民主党が政権をとったらうまくいきますか。
田原 麻生首相になれば民主が勝つと思います。民主にはうまくやれないと思います。でも小沢さんは政策に関心のない人なので、人に運営を任せて自分は自民を壊すことに全力を挙げると思います。(自民の)派閥の領袖を引っ張ってくるとかして。森さんいわく、「細川(護煕)さんが首相のときは自民の派閥はもっとしっかりしていた」と。彼らは民主がダメになる前に自民が壊れると心配しています。
ムルアカ 政治の動きを国民に伝えるメディアにも課題がある
田原 日本は長く自民政権が続いてきて、それに代わる政党がなかった。社会党は全選挙区に候補者を立てていたわけではないですし。メディアが野党の代わりだったんです。今は民主党がありますけど、メディアは相変わらず批判が仕事だと思っている。

◆東京で債権国会議を
ムルアカ 最後に、どうやったら日本はこのような難局を乗り切ると思われますか
田原 日本は捨てたもんじゃないと私は思うんです。世界一の債権保有国は日本ですよ。東京で債権国会議を開けと私はいっています。今の日本でやるべきは地方分権。それによって日本の官僚(支配の)構造を変えることが必要です。これほどまでの中央集権は日本と北朝鮮だけ。地方分権をきちっとやれば官僚はそんなにいらなくなる。でも自民の候補者は誰もやろうといわない。郵政民営化に命を賭けると言った小泉さんのような人は自民、民主どちらにもいないのが現状です。(構成・井田道人)

【会想録】 ■本物に弟子入り
 田原さんは一緒に仕事させて頂いた大先輩です。この度の対談は本人が今までテレビでいつも討論していることの一部にすぎません。実際に日本の政界の裏話を最も良く知っている本物でした。できるならば彼が元気なうちに彼の持っている能力を私なりに勉強させてもらいたいと本人にお願いしました。二つ返事でYESでした!!

【プロフィル】田原総一朗
 たはら・そういちろう 1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所、テレビ東京を経て、77年にフリー。テレビ朝日系の「朝まで生テレビ!」「サンデープロジェクト」に出演。98年ギャラクシー35周年記念賞(城戸賞)を受賞。02年から早大で「大隈塾」を開講、塾頭として学生たちの指導にあたっている。

ムルアカ ニッポンをきく18 - 衆議院議員(民主党) 原口一博さん

原口一博
今回の「ムルアカ にっぽんをきく」のゲストは政権奪取に意気上がる民主党の論客、原口一博氏。自民党総裁選は眼中になく、視線は次の解散総選挙。
与党批判から小沢政権構想までを語った。

◆4つの利益
 ムルアカ 福田康夫首相が突然辞任を表明し、国政は危機的状況にあります
 原口一博衆議院議員 まさに危機的状況です。国外ではグルジア情勢の悪化、金正日総書記の健康悪化にともなう北朝鮮情勢の流動化、イラクやアフガニスタンを含め待ったなしの情勢にもかかわらず、自民党は2年続けて首相の座を投げ出した。政治が完璧(かんぺき)に止まっています。米国とインドが原子力協定を結び、NPT(核拡散防止条約)が崩壊しようとしているのに、唯一の被爆国として何のメッセージも出さない。信じられない思いです。一方、国内は相次ぐ圧政で社会の倫理観が崩壊しようとしています 今や高校生がアルバイトをしないといけないような状況が生じている。なのに(政府は)何の対策もとっていない。経済でも、物価上昇と景気減速が同時に進行するスタグフレーションのときにはよほど強力なリーダーシップが必要なんですが、これも空白。これまでの構造的な矛盾が一気に吹き出しています。
 ムルアカ 民主党はじめ野党が参議院の過半数をとったことで、国民にとってどんな利益があったんでしょう
 原口 第1は情報開示。国政調査権を得たほか、会計検査院への(検査)要請を行えるようになった。たとえば政府が長い間しらばっくれていたC型、B型肝炎の命のリストが出てきましたし、「消えた年金」に関する標準月額報酬の改竄(かいざん)問題や、年金横領問題が明らかになりました。私は現在、たった1年間で5・8兆円も年金運用で失敗している問題を追及しています。税金をいくらとっても、それをプールするバケツの底が抜けているのでは話になりません。
 ムルアカ 法整備の面ではいかがでしょう
 原口 それが2つ目の利益です。障害者自立支援法や後期高齢者医療制度の改悪法案に対抗する法案を(参議院で)成立させました。達成できたものは大きいと思います。あとは衆議院を変え、法律を作り替えればいいわけですから。3つ目は外交。参議院の議席の過半数を占める政党が明確なメッセージを出すことで、イラク戦争を支持して世界を不安定にした政治勢力だけでなく、本当の平和の追求勢力があるんだと世界に知っていただけたと思います。最後に法案の修正があります。政府はテレビ番組の捏造(ねつぞう)問題などをとらえ、言論抑制的な放送法や電波法の改正をもくろんでいました。でも法律は参議院を通さないといけません。そこで特に私の所管する総務常任委員会では報道の自由、表現の自由を守ることができました。

◆血税ムダ食い
 ムルアカ 自民党総裁選についてですが、5人の候補についての印象はいかがですか
 原口 自民党の候補について私から申し上げることはありません。それぞれ立派な方。建設的な政策論争を積み重ねていただきたい。これで政治が変わるかどうかは自民党の話で、私には予測できません。
 ムルアカ 首相が総理の座を投げ出したことは、政権獲得を目指す上で追い風ととらえていいんじゃないですか
 原口 私はマイナスだと思います。政治にとって最も必要な信頼もなくなりました。国民にとってマイナスだし、民主党にとってもマイナスなわけです。
 ムルアカ 医療制度の問題や高止まりするガソリン価格、後期高齢者医療保険、年金などの問題は政治の得意技で何もなかったことにすりかえられるのではないでしょうか
 原口 与党は大きな負担のツケを国民に回そうとしています。たとえば道路特定財源でいうと、東京都都民は5000億円以上の税金を払っているのに、実際に都に還元されているお金は最大見積もっても2000億円にしかならない。つまり税金をムダ食いしていて国民は“払い越し”なんです。目先の財政のつじつまを合わせようとしたんですが、国民に不安を与えた上に、かえって財政は赤字になっている。
 ムルアカ 地方のお年寄りはガソリン問題で困っています。国会議員は電気自動車に乗っている方もいるので分からないようでしょうが、田舎のお年寄りのほとんどはガソリンがないと移動ができないので生活に困っている
 原口 切実感がないですよね。官僚も議員も長いあいだ世襲してきて大きなお金を持っているから1円の大切さが分からない。6割ぐらいが世襲ですから。
 ムルアカ これからも5世、6世と続くんじゃないでしょうか。まず国民がそうした人を落選させないといけないし、選挙区を変えるとかしないと
 原口 まさにその通りで、2世、3世が出馬したらいけないんじゃなくて、選挙区を変えて出るようにしないといけない。多選禁止なども含め政治改革をきっちりやる必要があります。定数も衆議院は300、参議院は100ぐらいに思い切って減らす必要があります。

◆組織統治
 ムルアカ 小沢さんが首相になったら簡単に辞めることはありませんか
 原口 それはないです。福田さんを見ていると孤立無援なんですよね。ピッチャーが投げようとしているのに、センターがピッチャーに向かって石を投げている。センターは麻生さんのことですが、これでは辞める。私たちはチームで政府を作ろうとしています。議員を100人政府に送り、それで小沢さんを支えていこうと。組織の統治をきちっとすれば投げ出すこともないと思います。
 ムルアカ 政界再編を早くして、権力闘争をやめて、早く国民のための政治をしないと
 原口 そうです。ただ、国家に住みついている白アリは白アリといっしょに退治できませんから。与党にも立派な方はいますが、条件は厳しい。誰とでも組むわけにはいきません。ムルアカさんが外務省からパスポートを偽造呼ばわりされた際、私も最初は疑ってご迷惑をおかけしました。国が無実の人を罪があるかのように言う、しかも法務省は何の問題もないといっているのに、外務省は謝罪も何もしない。長い間の一党支配で自分たちは間違ったことを認めないとおごっているんです。それをあらためるためにも政権を変える必要があります。ムルアカさんは考えが素晴らしいですから、政権をとったらきちんと国としてムルアカさんに謝罪して名誉挽回(ばんかい)をして賠償を払ってぜひ内閣の中に入ってほしいと考えています。(構成・井田通人)

【会想録】 ■民主党の主力に
 原口さんは真面目で素直な議員だと思います。間違った時に素直に謝ることが出来る人間であると思います。まさにこれからの民主党の中で大きな役割を果たすことでしょう。もう一つの力は優秀なスタッフを持っていることです。まだ若いですから、日本のために命をかけて頑張ってほしいと思っています。

【プロフィル】原口一博
 はらぐち・かずひろ 東大文学部卒業後、松下政経塾入塾。佐賀県議会議員を経て、1993年保守系無所属で衆院選に出馬するも落選。96年新進党公認候補として初当選(現在4期)。衆議院予算委員会委員、民主党のネクストキャビネット総務大臣を務める。49歳。佐賀県出身。

ムルアカ ニッポンをきく19 - 塩水港精糖会長 久野修慈さん

久野修慈
「ムルアカ ニッポンをきく」の今回のゲストは塩水港精糖会長の久野修慈氏。
温厚な語り口で漁業や外交、教育問題などで理路整然と説き、ムルアカ氏も納得の様子。キューバのカストロ前議長と旧知の間柄というのも驚きだった。

■「信念」育む教育を
ムルアカ 会長は大洋漁業(現マルハニチロホールディングス)の専務を務められ、現在は製糖会社の塩水港精糖を経営されています。今日は漁業問題や食糧問題、外交についてご意見をうかがえればと思います。今回の対談は、前にご登場いただいた中部謙一郎・神奈川工科大学理事長からのご紹介で実現しました
久野修慈・塩水港精糖会長 中部理事長のおじいさんは大洋漁業の社長を務めた中部謙吉さん。尋常高等小学校卒なのに優秀な人で、教育の重要性をよく認識していて、神奈川工科大を創設しました。私は謙吉さんの特訓を受けてマルハの経営にあたりました。謙吉さんが作り、育ててきた会社の、いわば守り本尊だったわけです。
ムルアカ 日本の漁業は燃料価格の高騰で大変です。この危機をどう乗り切ればいいと思われますか
久野 私が大洋漁業にいたとき、中部謙吉さんの使命感というものを身をもって体験しました。当時の日本は不幸な戦争があった直後で食べるものがない状態。大洋漁業も戦争で船を全部取られてしまいました。そんな中、戦後、中部さんは借金して250隻の漁船を造り、それで魚を捕って国民にタンパク源を供給した。造船会社を潤わせて経済発展の基礎になり、雇用を生んだんです。謙吉さんは戦後の日本で最も重要な使命を果たしたといっていいでしょう。そして漁師も困っている国民に早く魚を食べさせようと努力しました。でもその事実を国民は忘れている。昭和40年代は、200カイリ内で年間1100万トンの魚が捕れたのに、今は600万トン。200カイリ経済水域ができたために減ったんですが、いずれにせよ今は大変な危機。なのに国家として根本的な論議がなされていない。高度経済成長を経て、自動車産業などの競争力はついたけれども、漁業政策、大きくは食糧政策が貧困だと思わざるを得ないですね。このさい、沿岸の魚を安定的に供給する仕組みをつくらないといけない。燃料代の補填(ほてん)は一過性の問題で、場当たり的な対策。日本の港や漁船への投資、漁業関係者の人材育成が全くできていない。いま漁師が魚を捕っても、いい魚は築地に来るけど、普通の魚は買いたたかれてもうからない。やはり日本が水産立国であるという原点に戻って、漁港や漁船の整備などを考え直さないと。
ムルアカ ところで今年のサミットでは環境問題が大きなテーマになりました。環境問題といえば、農作物を使ってバイオエタノールを開発する動きが進んでいます。これは製糖会社のお仕事にも関連しています
久野 私が付き合いのあるキューバのカストロさんは、食糧にするものはエネルギーとして使うべきではないと言いました。それが正しいのか、再度議論すべきだと思います。世界的に人口が増え、食べられない人もいます。生きることの前提に立った議論が正しい姿。その中で食糧とバイオ燃料とのすみ分けを考えたとき、油が高いから何でもいいということにはならないんじゃないか。私はカストロさんの考えが正しいのではと思っています。
ムルアカ 私も同感です。人命が最も大切なのに、世界はそこまで分からなくなっているのか
久野 資源と食べ物は世界的に平等でないといけない。
ムルアカ 私はもっと長い目で考え、教育制度の充実などに貢献すべきだ思います。会長は教育にも関係されています。日本が21世紀のアフリカのリーダーを生み出すのに役立つために、どういうスタンスで支援をすればいいのでしょうか
久野 やっぱり国としてアフリカに対するもっと根本的な援助のシステムを考えないといけない。戦前、台湾の民政長官になった後藤新平は教育や産業の振興を重視していました。塩水港精糖という会社は、台湾でサトウキビを生産して日本へ持っていくため、台湾精糖に次いで2番目にできた会社です。そのころ新渡戸稲造も台湾でサトウキビを栽培していました。後藤新平のように昔の人はこういうことを一生懸命やっていた。そのおかげで台湾の人は日本人を憎んでない。それが意味するものが何かということを考えないと、日本は国際的に認められない。
ムルアカ 会長は世界的に顔が広い方ですが、日本の外交はどう思われますか。私は外交は人間関係だと思うのですが、日本の外交にはいろいろと問題があると思います。人脈のある人を大切にして外交にいかせばいいと思うのですが
久野 外交というのはもっとリーダーシップがあって、国家的なマインドを持った人がやるべきだと思います。ただ外交官試験を受けて通った人がやるようじゃダメ。私がキューバに行くと米国を気にする日本の外交官は困るんです。そうじゃなくて、キューバに対してもごまかさずに、悪いところは悪いと言う。その姿勢が正しいと思います。でも彼らは体面ばかり気にしている。拉致問題も北朝鮮に嫌われてでも信念を通さないと。北朝鮮の対応について基本的な間違いを率先して正すことが、彼らが国際的な信用を得る道でもあると思います。
ムルアカ 嫌われても本当のことを言う。大切なことですね。私は拉致被害者家族の痛みが金正日総書記の耳に入ることが、解決の近道だと思います。私はカストロさんの教育問題と医療問題への考え方と闘志はすごいなと思っていますが、それは会長のような人を大切にしているからだと分かりました。
久野 政策の間違いもあるかもしれませんが、それは別として、50年も米国と対峙(たいじ)しながら、彼はつねに国民の側に立ってきた。キューバ革命が起こったときのキューバの識字率は3%でしたが、今は97%なんです。それにえらいのはテロリズムを生み出さず、米国の飛行機を落とそうとはしなかったことです。理由は国民が不幸せになるから。彼は教育をしておけば国民が闘う力を持つと考えた。これは非常に重要な事実だと思っています。(構成・井田通人)

【会想録】 □内外問わず抜群の人脈
 以前この連載にご登場いただき、私が尊敬してやまない中部謙一郎・神奈川工科大学理事長のご紹介でお会いしました。大変優秀で気さくな方で、内外問わず抜群の人脈を持っている方です。ひと言でいうと日本の宝。このような方を日本国は図書館のようにもっと活用させればよいと思います。”一期一会”この出会いを大切にしたいです。

【プロフィル】久野修慈
 ひさの・しゅうじ 中央大学法学部卒。1961年大都魚類入社、63年大洋漁業(現マルハ)入社、87年専務。86年から90年まで大洋ホエールズ(現横浜ベイスターズ)球団社長を兼務。90年塩水港精糖社長、2005年会長。精糖工業界会長、経団連評議員。福井県出身。72歳。

ムルアカ ニッポンをきく14 - ワタミ社長 渡邉美樹さん

渡邉美樹

■国境越え「幸せ」支援
 「ムルアカ ニッポンをきく」の今回のゲストは渡邉美樹ワタミ社長。幅広く活躍する渡邉氏だけに、農業や高齢者問題、途上国支援など話題も多岐にわたった。

ムルアカ ワタミグループというと、「居食屋和民」の運営をはじめ、介護、農業、環境と事業の幅が広く、時代に合った経営を手がけられています
渡邉美樹ワタミ社長 「いろんなことをやってるね」といわれるんですが、本当にやりたいこと、好きなことをやっているだけなんですよ。非常にわがままな経営者でして。もともと人と人とのふれあいを創造したくて外食を始めたら、食材が安全でないから自分たちで届けたいと思って農業を始めた。一方で、学校教育をやりたかったので学校経営を始めたら、次に病院経営を始めて、さらにその次は介護と、(連鎖的に)別の世界が見えてきた。これをやったらとびきりの笑顔をもらえるという仕事をやっているんです。最近、高齢者向けの宅配弁当事業を始めました。高齢者の約10人に1人は1人暮らしで、お弁当だけでなく会話も届ける仕組みがすごく気に入って。好きでやっていることばかりです。

◆善悪優先を教訓に
ムルアカ 食の話が出ましたが、最近は「中国製ギョーザ中毒事件」など、安全を脅かす問題が頻発しています
渡邉 われわれにとって身近な問題。食の安全に関する問題に共通しているのは、「損得」と「善悪」を前にして、損得を優先している点です。今までもあったかもしれないけれども、インターネット上で一人一人がモノを発言する時代になったから隠すことができなくなったのではないでしょうか。これからは善悪をとらないと生き残れない。誘惑はいっぱいあると思いますけど、個人レベルから善悪を優先しないと。それが教訓だと思います。
ムルアカ 日本はもともと農業国家。ギョーザぐらい日本でもつくれるのでは。わざわざお隣(中国)で作らなくても…
渡邉 ギョーザ問題のとき、ワタミグループの約600のメニューのうち、中国産の加工済冷凍食品は小籠包の1種類だけでした。ギョーザ事件後はそれもやめました。中国が心配だからではなく、お客さまが心配されているからです。
ムルアカ 日本の食料自給率は40%を切っている。これはあまり良くありません。もっと国内生産を重視しないと
渡邉 自給率が低いのは政治が原因。農家は守るけど、農業は守らないという姿勢に問題がある。本来なら(生産コストを下げる)大規模な農業に補助金を出すべきなのに、(必要ないところへ)補助金を出すからみんな弱くなっている。今の日本の政策が続く限り、自給率が上がることはないでしょう。
ムルアカ お金をやらないと農家が選挙で応援しないという古い考えのツケですね。食料を含め、資源のない日本は資源を止められると国がもたない。国の安全を守るためにも(農業生産の)レベルを上げた方がいいのでは。私は神奈川県西部の山奥に住んでいますが、無農薬野菜を作っています
渡邉 われわれも北海道や千葉など7カ所でレタスやナスをはじめ40種類の有機野菜を作っています。同じ思いを持った人とネットワークを広げて、600店舗に供給しています。国が応援しないならわれわれで農業を守ろうと。
ムルアカ 私の住んでいる地域は農業と介護が地盤沈下しているのでぜひ一緒にやりたいですね。ワタミは介護施設も運営していますし、渡邉さん個人では病院経営もやっていらっしゃいます
渡邉 病院は頼まれて始めたんですが、(経営してみて)「今の高齢者は幸せじゃないな」と。今まで日本を支えてきた方々なのに。私は常に自分が今何をできるか問いかけているんですが、そのとき外食事業のノウハウをいかして施設運営をすれば、おいしい食事が提供でき、かつ安くて良い施設ができると。すごく喜んでもらえるような。ちょうど先日、神奈川県相模原市に35棟目ができたところです。みなさんに喜んでもらっています。それ以上のご褒美(ほうび)はない。介護事業をやって本当に幸せだと思います。

◆「自分さえ」はダメ
ムルアカ 私は昨年、自分の畑で麦を収穫し、パンにして高齢者の病院へ持っていったら、おばあさんたちがすごく喜んでくれました。日本人は大事なことを忘れかけている。一緒に農業を通じた社会支援ができればいいですね。ところで今年のサミットやTICAD(アフリカ開発会議)では環境がメーンテーマでした。この問題は今や無視できなくなっています
渡邉 環境問題も一部の食料問題も国境のない問題。自分の国だけが良ければいいというものではない。中国で空気が汚れると、日本にも悪影響が出る。国同士が協力しないと。(資金や技術を)持っている国は、持っていない国へ提供する。お金がないところは自然をもっている。互いに交換すればいい。新たな物々交換の時代だと思うんです。自分さえよければという時代は続かない。
ムルアカ 今の日本では「いただきます」という言葉の意味を子供たちが知らない。食べ物や命、山、空気への感謝の気持ちを持っていない。もう1回、その気持ちを思い出さないと。アフリカには(インフラが)整備されていないところがある。例えば中央アフリカはもともと農業生産量は多く、欧州の食料を賄っていたほどだったけれど、今は貧しく学校に行けない子供たちは多い
渡邉 私のやっているNPO法人ではカンボジアやネパールで学校建設や孤児院運営に加え、お米を支援しています。始めたのは(支援の)ルートがあったからですが、アフリカにも作っていただければ喜んで。
ムルアカ 日本政府は支援を倍増するようですが大事なのは結果。そんなことより学校を作るとか、本当に困った人に直接、手を差し伸べることが必要です。学校を作るのに何千億円もいらないと思います
渡邉 必要な支援を適切なタイミングでやらないと。われわれは現地に事務所を構え、村長や僧侶など村の有力者と協力して建設促進委員会を作り、国と協議して作ると決まってから支援しています。自分たちで作った学校だったら、自分たちの子供を通わせようと思う。そこまでしないと、子供たちが働いてしまい、学校に行かない。
ムルアカ 最後に外食産業は競争が非常に激しい世界です
渡邉 競争が激しく、市場は小さくなっています。われわれも新規出店は抑えています。そういう流れのなかで、自分たちの付加価値を高めていきたいですね。一方、海外には積極的に進出しています。8月末現在で台湾、香港、深センの3地域で23店舗を運営していますが、来年にはシンガポールにも店を出したいと思っていますます。2020年には国内と海外の売り上げを同じくらいにできればと考えています。海外店舗はあくまで現地の人向け。現地の人に日本食を楽しんでもらいたい。それがわれわれの願いです。(構成・井田通人)

【会想録】■行動の速さに驚き
渡邉社長にお会いしたのは初めてですが、気さくな方で、楽しみながら仕事をしているという印象を持ちました。行動の速さにはいつも驚かされています。私とともに、アフリカや神奈川県西部で農業プロジェクトを推進することを検討するとおっしゃっていただいたのはうれしい限り。同世代の人間として、もっと世界のために頑張って欲しいと思います。

【プロフィル】渡邉美樹
わたなべ・みき 明治大学商学部卒。1992年「居食屋 和民」開業。2000年東証1部上場。外食だけでなく介護、農業、環境などの分野でも事業を展開している。そのほか個人として郁文館夢学園理事長、医療法人盈進会理事長のほか、「神奈川県教育委員会」委員、日本経団連理事、NPO法人「スクール・エイト・ジャパン」の理事長なども務める。48歳。神奈川県出身。

ムルアカ ニッポンをきく01 - 元首相 森喜朗さん

森喜朗
本人いわく「だれよりも日本人。だれよりも日本が心配」のムウェテ・ムルアカ氏。
身長209㎝の視野から、日本の将来や問題点などを各界著名人に聞く。
第1回目は元首相の森喜朗さん。  

ムルアカ 今日はありがとうございます。  
森元首相 そういえば、子供は何人?。  
ムルアカ 4人です。農業をやっていて、ミカン畑にも連れていきます。  
森元首相 (背が高いので)なかなか日本は大変でしょう。日本の風呂は小さすぎて入れないでしょう?
ムルアカ 209㎝なので、お風呂に入っても半分しか入れないですよ。  
森元首相 外国にはお風呂はほとんどないでしょう。でも下半身だけお湯に入るのは健康にはいいんでしょう?僕もあなたと一緒だから半分しか入れないよ。  
ムルアカ 世の中大きい人間は不便ですね。どこでも頭を下げる。でも今家をつくっているので、せめて自分の家では頭を下がないよう、大きなドアを作ってもらっています。  
森元首相 そういえば、鈴木(宗男)君は小さいからね  
ムルアカ 結婚式やお葬式などがあると車の中で着替えていましたが、彼は楽に着替えられるけど、私の場合はひと苦労。  
森元首相 僕も車の中では無理だから、飛行場などでは控え室とかを借りますよ。  
ムルアカ (ここから本題)TICAD(アフリカ開発会議)などを通じ、アフリカ支援に取り組んで下さり、感謝しています。私はアフリカ生まれの日本人ですが、今後も唯一のアフリカのロビイストとして、良い形で続けばと願っています。でも一般の日本人には日本が何を貢献しているのか知られていません。第4回のTICADが5月28日にありますが、これを成功させるにはどうすればいのですか。  
森元首相 今回の洞爺湖サミットでアフリカ問題を議題に取り上げてもらうことが必要。今までの延長ではなく、変化させる必要がある。目的はアフリカ諸国を自立できること。第一に人間の安全の確立。次に温暖化対策、そして今の成長をさらに加速させること。この3つをテーマにしていきたい。  
ムルアカ アフリカ諸国は日本にすごく期待しています。日本はアフリカと植民地の関係がないから変な感情が無く、いい形で付き合える。ところで、TICADはそろそろ結果を出さないといけないのではないのではないでしょうか。特に今回はたくさんの元首が来る予定になっていますから。  
森元首相 欧州は(アフリカを植民地にしていた関係で)感情的な部分がある。日本には暗い過去の因果関係がない。日本が表に立ってアフリカの自立を促す必要がある。最近は中国が大きなホールを造ったりと、いろんな支援をしている。(目立つことばかりで)アフリカの人の目はそっちにいっちゃう。  
ムルアカ 一部で『中国の支援は見える形でみんなに喜ばれている」と心配する向きもある。でも私から見たら『ハコモノ』ばかり。スタジアムや道路を作ったりしているけど、よく考えれば自国の道路もろくにできていない段階。そういうだましだましの支援をしながら、一方で武器を売ったりする。ブレーキとアクセルを同時に踏むようなもので、長いスパンで見るとアフリカにとって良くない。それはどう思われますか。  
森元首相 片方に本、もう片方にビフテキとワインがあれば、誰もがビフテキとワインを手にとる。日本は教育や衛生、水問題、病院など、必要なものを提供してきた。(社会インフラの)基礎がある程度できたところで、官邸や博物館を建設するのならいいが。その国の自主性、自尊心を認めて援助しないと援助を受ける国もおかしくなる。  
ムルアカ 森さんは日本の現職首相で初めてアフリカを訪問されました。そんな森さんのお聞きしたいのですが、10年20年先の日ア関係を見据えた支援と日本の将来を考え、両文化などをわかっている方々による実行事務局のような組織が立法府で必要なのではないですか。外務省だけでは無理なのでは…。
森元首相 今の外務省では無理。外務省は(支援の)方向性を示してことはできるが、フォローアップのため、経済界や経産省、農林省、国交省などから人を集めてシンクタンクを作る必要がある。特にあなたみたいな人間は必要ですよ。アフリカは53カ国あり、それぞれ違う。AU(アフリカ連邦)では将来、アフリカ合衆国を目指そうとしている。アフリカは無限の資源を持っているので、それを大事にして世界に役立てる基盤を作ることがわれわれ先進国の仕事。アフリカ問題は世界の議題の中心に据える必要がある。(私の首相就任中)沖縄サミットにアフリカの国を参加させようとしたが、米クリントン前大統領や仏シラク前大統領は経済問題を中心にやりたくてダメといった。そこでサミット前日にG8(主要8カ国)首脳とアフリカ諸国を含む途上国首脳による史上初の意見交換を行ったら、ムベキ・南アフリカ大統領など3カ国の大統領が来てくれて本当に感動した。それがきっかけとなりアフリカ問題をサミットで取り上げるようになり、今やアフリカの元首が来るのは当たり前になった。アフリカ問題に世界の目を向けさせる上で、一石を投じられたのはうれしい。  
ムルアカ 森さんが沖縄サミットでアフリカの(歴史の)一ページを作った。ところで福田内閣の支持率が停滞気味ですが。  
森元首相 急に就任したので大変だろう。私も小渕(恵三)元首相が倒れて急遽、首相になった。マスコミなのか野党なのか、首相をいじめていればいいと思っていて、それが主目的になっている。私は長くやるつもりはなくてアフリカ問題などに取り組んだが、福田(康夫)さんにも同じような思いがあるだろう。ただ周りが(自由に)やらせようとしない。それに安倍内閣の閣僚を継承しているし、参議院で自民党が第1党でないのも悩み。でも米英ではそんな状態でもうまくやっている。うまくいっていないのは日本だけ。野党も互いに責任をもたないと。つまらないことで国益を失う。  
ムルアカ 『政治は自分に関係ない』という人がいますが、私にとってはそれは平和ボケですね。政治的混乱が起こると国民にとって大きな不利益になりますよ。安倍(晋三)前首相が体調不良で辞めましたが、急遽、福田さんになり、いつ何が起こるか分からないのが政治。ズバリ福田さんに何かあったとき、次の総理になれる人は誰でしょう。  
森元首相 (ハッハッと笑う)これは難しい問題。我々は後のことを考えたくない。昔は(有力な政治家が)競い合っていたけど、最近は〝次の人〟のスケールが小さい。麻生さんや谷垣さんは自民党総裁選に出馬したし、高村さん、中川さんもいる。けど党の中核にいる人が少なくなったのが今の自民党の弱さだ。鈴木さん、加藤(紘一)さんなど、ちょっと傷ついて党を出るか、(中核を)離れてしまった。自民党は弱い体質になった。  
ムルアカ 政治に対する考え方を変えないといけない。  
森元首相 昔は社会党や共産党と自民党の戦いだったが、今は冷戦が崩壊して自民と民主は同じ考えを持っている。なのにいっしょにやらない。いっしょにやらない限り、民主には政権はとれない。日本は民主主義の国だけどまだまだ歴史は浅い。  
ムルアカ この前、少子化問題を取り上げたテレビ番組に出ました。少子化は金がないから進むのではなく、意識改革が必要といいました。昔は金を計算して子供をつくっていなかった。  
森元首相 そう。今は面倒くさいとか育てられないとか。飢え死にしたこともないのに。意識改革しないと。米国から利己主義など悪い面だけ学んだ。経済成長の中でできたそういう意識がなかなか直らない。(子供が多い)ムルアカさんのような方が大いに刺激してほしい。  
ムルアカ アフリカ生まれの日本人として、もっと頑張りますよ。今日はどうもありがとうございました。
(校正:井田通人)

【会想録】
□”シンクタンク”実現に期待  
森元首相との出会いは二十数年前、自民党の幹事長に就任されるずっと前のことでした。竹下登先生と一緒にいると、登先生が私に、「必ず君の面倒はみるぞ。何かあったら何でも『申して』てよい」と、(冗談めかして)言われました。そのとき隣にいた森元首相がニヤッと笑って、「何かあったら『申し』あげなさい」と。うれしそうでした。  
思い起こせば、過去に日本の政局を動かしてきた「ドン」たちは、多くが亡くなってしまいました。森先生も70歳になりましたが、まだまだがんばっていただきたいものです。  
森先生が小泉元首相をつくり、安倍前首相をつくり、福田首相をつくり‥。「『ムルアカ首相』には間に合うのだろうか」と自分に問いつつ、せめて”アフリカシンクタンク”は実現してくれると願っております。  
森先生は「人柄の森」「いい加減な人間は大嫌い」、そして「自分の家族を大切にしている」方だと思います。

ムルアカ ニッポンをきく02 - 前首相婦人 安倍昭恵さん

安倍昭恵
今回のゲストは前首相夫人の安倍昭恵さん。
ムルアカさんとは同年代ということもあり、気が合う2人。
前首相辞任の内幕、若くしてファーストレディーになった心境、今後の活動などを新聞紙上で初めて語った。  

ムルアカ 40歳代はおそらく初めてだと思いますけど、ファーストレディーになられた感想はいかがでしたか。  
安倍昭恵 (夫の安倍晋三前首相が辞任して)もう半年たちましたが、今思うと「自分はそんな立場だったのか」というのが正直な感想です。でもいい経験になりました。若くて至らない点があったと思うし、周囲からみてもそうだったと思いますけど。いろいろな方に支援していただきました。私なりに若々しい外交ができればと思っていましたが、若いという意味では率直に他の首脳夫人に「何でも教えてください」といえました。  
ムルアカ 国民の多くは総理が記者の質問に答える範囲でしか、官邸の(仕事の)大変さを知らないと思う。昭恵さんも安倍前首相が病気で入院されて大変でしたね。  
安倍 官邸は私にとって別世界。いるだけでプレッシャーでした。オフィスの方の大変さは実際は見ておらず、外遊についていった範囲ぐらいでしか分からないですけど。主人が公邸に帰って、少しの時間いっしょにいる中で、「相当ストレスがあって大変なんだろうなあ」と、ずっと感じていました。特に最後の方は夜ちゃんと寝られないとか、食事をきちんととれないとか、次々と体調の問題が起こって。一方で、すぐに決断していかないといけない責任がありました。「一国のトップの責任は全然違うんだなあ」と主人の言動から感じました。私にもやることがあったとはいえ、健康面のケアをもっとできたのかなという後悔はあります。主人は大変だったと思います。
ムルアカ 辞任はいつごろ知ったんですか。  
安倍 主人にいわれたのは数日前。日程をキャンセルしたりしていて、約束は破らない人だったので、体調が相当悪いのだなと分かっていました。辞任直前(2007年9月)にAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議へ出席した際の会見で、(テロ対策特措法の延長法案ついて)主人は「職を賭していく」と発言しました。「辞任を覚悟しているのかな」という感じでした。具体的に辞めるとはいってたかはよくおぼえていませんが、いってなかったと思います。私からは参議院選挙に敗北した際に「辞めないの」とは聞きました。でもそのときは元気だったので続投を決めました。私としては体を心配する一方で、何とかして切り抜けられないかという感じだったんですけど…辞任は分かる人に分かっていただければ。   □勇気ある決断  
ムルアカ 時がたち、冷静になれば判断が正しかったと(世間も)思えるようになると思う。前首相は「迷惑をかけられない」と辞任され、政治の空白を作らなかった。国益のために立派で正しい判断をしたと思う。ただ、問題はタイミングです。  
安倍 主人は持病を抱えていました。首相になっていいかどうかは別として、これまで大丈夫だったので、首相になっても大丈夫との判断でした。だけどストレス管理がうまくいきませんでした。責任を果たせないのに、首相の椅子(いす)にしがみついていてもしようがないというのが主人の考え。もちろん無責任だという批判は想像されましたが、国のことを考えた勇気ある決断だったと思います。  
ムルアカ ところで、ファーストレディーは晩餐(ばんさん)会でもご飯を食べるだけではなくて、服装や言葉遣いに注意したり、マナーの勉強もしないといけない。高齢ではできない部分もあります。過去の首相夫人はあまり表に出ませんでした。
安倍 でも過去の首相夫人はそれ以前に、ご主人とともに経験を積まれておられます。私は勉強不足な面ばかりだから…。  
ムルアカ 私は逆だと思う。人間は年をとるとどうしても脳の働きは衰えます。  
安倍 それは年ではなくて、人によると思いますよ。  ムルアカ 外国の大統領夫人には、夫のサポートをするだけでなく、国民の代表として世界で活動する人が多い。これからどうしたいですか。  
安倍 今は(ファーストレディー時代に)会えなかった人と会食したり。(趣味として)長刀(なぎなた)も始めました。具体的な活動はまだ考えていません。ただ1年間主人とともに(首相夫人として)活動する中で、いろいろな方に巡り合い、いろいろな国で障害者施設や学校を見て回りました。これからも何かしら役に立つ活動をしたいとは思っています。今もいろいろな施設を訪問したり、さまざまな分野の専門家にお話をうかがったり、細々と活動しています。  
ムルアカ アフリカ支援についてはいかがですか。  
安倍 アフリカや東南アジアには素晴らしい才能を持っているのに貧しくて教育が受けられない子供たちが多いので、教育を受ける機会が増えることが大切だと思います。今も多くの人が支援していますが、「なぜうまくいかないんだろう」との思いはあります。また私は日本人として誇りを持っているので、日本に生まれてよかったと思える子供が多く育ってほしいと思います。そういう子供がアフリカを訪れ、自分がいかに恵まれているかとか、人とのきずなの大切さを知って、相互理解が進めばいいですね。
ムルアカ 世界中に戦争や内戦で親を失い、貧しい生活を強いられている子供たちがいっぱいる。彼らに何らかの形で手を差し伸べられないものでしょうか。日本人は大変といっても飢え死にはしていない。(地道な)農業プロジェクトを通じて救うのも方法の一つでは。昭恵さんはこれから50年は生きられるでしょう。  
安倍(大笑い)   □支援は前向きで  
ムルアカ 昭恵さんの世代は責任を持って活動しないと。  
安倍 私はたまたま(親しい)作家の曽野綾子さんとアフリカに行きましたが、行かなければ遠い国でした。興味を持ててよかったと思います。そんな縁ができたからにはお役に立ちたいですね。日本でアフリカの国々のことをもっと知ってもらうのも一つだと思います。援助を差し伸べる人や団体は多いのに、なかなか援助の成果が出ていないように見えることは残念だと思います。  
ムルアカ 私は援助のポイントがずれていると思う。  
安倍 日本政府は先方が欲しい物のリストに沿って提供しています。精査しているとは思いますが、アフリカ側も本当に欲しい必要とする物を要求しないと。  
ムルアカ そう、そこがずれている。例えば留学制度を使って海外へ渡る人は、それなりに裕福な人が多い。でも本当に貧しい人にチャンスを与えれば、明治時代の日本と同じように才能が広がる。日本という国も理解される。  
安倍 主人はアジアに学校を作る50人の議員連盟に参加しています。50人いれば年1校作れます。私も何かやりたくてミャンマーに学校を作りました。まだ1つだけですが。訪れたことがありますが、どこへ行っても子供はかわいいですね。  
ムルアカ 最後になりますけど、ファーストレディー時代に印象深かった人は誰ですか。  
安倍 (ブッシュ米大統領夫人の)ローラさんでしょうか。ASEAN(東南アジア諸国連合)の会合でベトナムへ行ったとき、まだ右も左も分からない私にアドバイスしてくださいました。その後も何回かお会いして親近感がわきました。とても温かい方です。米国のファーストレディーにはスタッフが25人もいるということですが、大変だなあと思いました。あとルワンダの作家のイリバギサさんには感銘を受けました。彼女は1994年の大量虐殺で100日間トイレにかくまわれ、親兄弟はみな殺された。それにもかかわらず最後は犯人のために祈り、すべてを許したそうです。それを聞いて「なぜ許せるんだろう」と驚きました。すごく穏やかな人でしたね。  
ムルアカ 私もルワンダの虐殺の真実を知る一人です。友人を何人も失っています。この出来事の根は大変深く、昭恵さんがルワンダの作家のひと言を聞いてそれをそのまま信用してしまうのはいかがかと思います。生き残った人間として命の重みを感じますし、多くの人が死んだ事実をもっと知る必要があると思う。この話は本が一冊書けるほど大変長いものです。今日は貴重な時間をありがとうございました。
(構成・井田通人)

【会想録】  □優しく強い人  
安倍家とは、晋三先生のお父上、晋太郎先生の時代からのお付き合いです。22年前に外相だった晋太郎先生と、外国から来た政府要人との会談に私が参加したのがきっかけです。晋太郎先生の奥様にもお目にかかりましたが、大変美しく日本的な物静かな女性という印象でした。  残念ながら晋太郎先生は亡くなられ、晋三先生が国会議員になられました。当初は特別親しいわけではありませんでしたが、その後、昭恵さんとアフリカ関連の会合でお会いしました。出会いとは不思議なもので、互いの共通の友人が多かったことで信頼関係が深まりました。  同年代でもあり、家族ぐるみの交流をさせていただいています。昭恵さんはひと言で言うと思いやりがあり、優しく強い人。アフリカと日本のため、ダイアナ元英皇太子妃のように活躍していただきたいと願っています。

◇ 【プロフィル】安倍昭恵  あべ・あきえ 
聖心女子専門学校卒業後、電通に入社。1987年に父・晋太郎氏の秘書を務めていた安倍晋三氏と結婚。6年後に晋三氏が衆議院議員となり、代議士の妻となる。晋三氏の首相就任にともない2006年9月から07年9月までファーストレディーとして活動した。「アッキー」の愛称で知られる。父は森永製菓の創業者一族で社長を務めた松崎昭雄氏。45歳。東京都出身。


ムルアカ ニッポンをきく08 - 法相 鳩山邦夫さん

鳩山邦夫

「ムルアカ ニッポンをきく」の今回のゲストは何かと注目を集めている鳩山邦夫法相。
朝日新聞の「死に神」報道、宮崎勉死刑囚の死刑執行、裁判員制度、総裁選出馬の可能性などを素直に語った。

ムルアカ 一般の方々は法務省の仕事といえば裁判や刑務所ぐらいしか認識していませんが法務省の役割について簡単に説明していただけますか。  
鳩山邦夫法務大臣 ほかに入国管理、人権擁護も。意外と大きいのが受刑者が刑務所を出た後の保護観察。民事裁判以前の調停も重要です。あと民法関連では、離婚後300日以内の出生は民法722条で前の夫の子とされるなどの問題があった。こういうのが法務省の仕事なんだなと、私も思い直しています。  
ムルアカ 受刑者といえば刑務所で技術を身につけて出所しても社会は冷たい。刑期を終えたのだから社会がケアーする必要があると思います。  
鳩山 最大の問題かも。治安を良くするには再犯や再々犯を減らせばいい。犯罪の6割が初犯ではないんです。刑務所の中で行状が良くて仮釈放された人も、5、6年間に3,4割が再び罪を犯す。満期出所の人は半分に達します。ところがきちんと仕事をしていると再犯率は下がるんです。仕事を持っている人とそうでない人とで再犯率がすごく違う。暖かく雇い入れることが重要です。  
ムルアカ 日本の入国管理は世界的にレベルが非常に高い。以前、金正日総書記の息子がドミニカのパスポート偽造で日本へ入国しようとして見破られた。  鳩山 昨年11月から日本に入国する外国人から(入国時の)指紋押捺を義務づけましたが、むしろ外国人のお客さまは増えています。一方で450人ぐらいの入国を阻止し、国外退去などの措置をとれました。  
ムルアカ ところで現在全国で約1万人の外国人がメディア・コンテンツで仕事をしているといわれます。またその中には不法就労や各種犯罪など不法行為が後を絶たない現状のようです。そんな中私は少しでもそれらの犯罪を減らすべく、また働きやすい環境づくりのためFCCA共同組合(経済産業省所管)を預かっています。  
鳩山 来年に法改正し、今まで在留外国人に対する外国人登録証明書を市町村が交付していたのをやめ、在留外国人の名前や住所などの個人情報をICチップに記録した「在留カード」を新たに発行します。代わりに市町村には住民基本台帳のようなものを作ってもらい、情報は入管が一元管理する。これで適法に滞在している人へのサービスが強化できます。不法と適法との区別がはっきりする。日本にいてもらうと困る人と区別できる。正しくサービスできる体制を作るので、FCCAと法務省の入管を緊密に協力してやっていただきたいと考えております。  
ムルアカ まもなく裁判員制度がスタートします。内容が分かりにくいとの声もあります。  
鳩山 来年5月に始まります。重要な刑事事件のみ対象で年間3000件ぐらい。ひとつの裁判を6人の裁判員と3人の裁判官の計9人で合議して裁きます。そのことで市民の感覚を(裁判の)結果に反映し、裁判が国民に身近になる。ひとつの事件で100人ぐらいに裁判員になってくださいというお願いのハガキを送り、事情で参加できない人を除いて絞り込むわけです。そうするとハガキが届くのは年間で300人に1人。10年だと30人に1人。かなりいろんな方に届く。一番の法教育になるし、刑事事件が減ればいいなと。やってみながらでしょう。うまくいくと思います。  
ムルアカ 日本は刑事事件で起訴されると有罪になる確率が非常に高い。特に政治家の場合は99.9%といわれている。  
鳩山 日本では刑事裁判で有罪を勝ち取れると検察が判断して初めて起訴するんです。英国あたりでは51パーセントルールというのがあり、「この人は罪を犯したのでは」というとき、「半分以上の確率でクロだろう」となったら起訴できる。だから無罪がいっぱいある。日本は疑わしいだけでは起訴しない。だから有罪率が高い。どちらがいいかは判断できない。  
ムルアカ 死刑執行が増えていますが。  
鳩山 あの(宮崎勤死刑囚らの)執行は感情で行ったものではありません。役所と相談し、慎重に判断して粛々と執行している。これは法と正義の問題。(刑事訴訟法で判決確定後)半年以内の執行を定めているのに実行されていない。人によっては違法状態という。一方、執行は法務大臣の命令で行われ、自身の考えで執行しない大臣もいるとも言われる。でもそうなると法が守られず、正義を実現できない。だから急いでいるわけでもなく、感情で決めたわけでもない。粛々と冷静に、静かに(執行)しないといけない。役人の説明を2時間ぐらい聞き、時間をかけて独りで記録を読み、間違いのない人を執行しています。  
ムルアカ 執行は当然。大切な人の命を奪われた家族は仕返ししたいくらい犯人を憎んでいる。死刑になった人が何十年も(刑務所にいて)国の税金で暮らすのはおかしい。税金を支払っている中には遺族もいる。  
鳩山 粛々と、慎重に準備して、間違いなく執行したい。たとえば秋葉原の通り魔事件についてもマスコミに感想を聞かれるんですが、私としては法相なので、「法治国家として法の厳正な運用をする」としかいえない。ルールにのっとり、きちんと裁判官に裁いてもらって、刑に服させて…当たり前といったらそうですが。ある人は「厳罰主義」と私のことをいったし、「司法的殺人を繰り返している」という人もいたけれど。  
ムルアカ 秋葉原の通り魔事件は絶対に許しがたい事件であるが背景に社会の不公正やワーキングプアがあるように思う。  
鳩山 事件と直接の関係はありませんが、世の中が豊かに、便利になりすぎ、人間性にいい影響がない部分もある。携帯ネットとか。職がないのは気の毒だが、職探しをしないで何とか食える世の中特有の現象なのかな。社会が病んでいる影響は間違いなくあるでしょう。答えは見つかりにくい。(執行は)粛々といろんな状況を総合的に判断してやっていきます。省内でもずいぶん勉強会をやって、何かうまい方法がないかと。法務大臣だけに責任を負わせると、やりたくない人も出てくる。死刑執行審議会を作るとか、最高裁と法相が相談するとか、いろんな案を検討しています。執行命令書にサインするときには自信を持ってするが、当然悩みはある。でも先祖の墓参りや斎戒沐浴をして、つらくても押します。福田首相には十分理解していただいています。  
ムルアカ ところで麻生太郎さんを支持されていますが、ご自分で総裁選出馬は。  
鳩山 時の運もありますが、自分で(総裁選に)のぞむのは性分ではない。人に求められればやるけど。本当は環境のことをやりたくて、環境新党を作りたい。環境と経済は簡単には調和しない。より豊かさを求めたら、必ず将来の世代に影響が出る。でも票にならないのか誰もいわない。  
ムルアカ お兄さんの由起夫さんとまた連携するつもりは。  
鳩山 私も兄も鳩山一郎というDNA、人間や自然を大切にするDNAを持っています。兄は民主党幹事長として審議拒否などをしているが、本心ではない。自民と民主がぶつかっていいことは何もない。日本のため兄ともう一度手を結べればいいと思っています。(構成・井田通人)

【会想録】 □あのテロ事件の刑執行に注目
富山邦夫法務大臣とは昔から息が合って真面目ではっきり物事を申す方です。お兄さんとはあまりお付き合いは無かったのですが、最近はお兄さんとも話す機会がありメールマガジンを送っていただいています。兄弟とも私と良いお付き合いが出来るようになりました。 大臣は重い責任をもって私にハッキリと死刑執行を粛々と行っていくと言われました。あの有名なテロ事件の刑を執行するか注目しています。歴史に残るよい法務大臣として頑張って頂きたいと思います。

《 プロフィール 》鳩山邦夫 はとやま・くにお 
東大卒。1976年第34回衆院選で初当選(現在当選10回)。文部大臣などを歴任した後、93年自民党離党。翌年羽田内閣の労働大臣となり、新進党結成に参加。96年には兄・由紀夫氏と民主党を結成して副代表に就任したものの、99年離党。議員辞職して東京都知事選に立候補するも落選した。その後は自民党に復党し、2000年再び衆議院議員となった。07年安倍内閣の法務大臣となり、続く福田内閣でも留任した。59歳。東京都出身。

ムルアカ ニッポンをきく04 - 国民新党代表 綿貫民輔さん

綿貫民輔
今回のゲストは国民新党の綿貫民輔代表。
郵政民営化は間違いだったと譲らない一言意居士だが、グレーゾーンで輝くいぶし銀でありたいという。2大政党の間で、キャスティングボードを握ることができるのか。ムルアカ氏が今後の政局を聞いた。

ムルアカ 貴重なお時間ありがとうございます。ねじれ国会で政治がますます混迷の度を深め、政界再編の可能性も感じさせます。そこで今日は政局に関するご意見を中心にうかがいたいと思いまず。まずこうした状況の中で国民新党が果たす役割について、どうお考えですか。  
綿貫民輔国民新党代表 その前にあなたは日本人に帰化しましたが、日本の国政もよく知っているので今度の選挙で国民新党から立候補してもらいたいな。私が小泉自民党と決別し、国民新党を結成して2年半になります。結成直前の衆院は与野党の勢力が五分五分でしたが、その後自民党が小泉チルドレンを立候補させて、党内がバラバラになった時期でした。そして去年の参院選で自民は過半数を取れず、政権運営に苦しんでいます。参院はこの形が何年も続くでしょうし、衆院解散でも状況は変わらないでしょう。自民党は過去の成功したやり方に固執しているし民主党も思い上がっている。そのときにわれわれが2大政党ではなく、健全な第3極というか、まっとうな集団として活動し、キャスティングボードを握れば政治のバランスがとれると思っています。  
ムルアカ 7月には北海道洞爺湖サミットが行われます。今の混沌とした状況のままで日本はリーダーシップがとれるのでしょうか。衆院解散は秋以降といわれていますが。  
綿貫 内閣支持率が低いと通常は解散総選挙になりますが、総理がうんといわないとできない。安倍(晋三)さんが前に辞めたばかりだし、解散しないと思います。野党が問責決議をしても、法的な拘束力がないので自民が知らん顔したら、できない。時の過ぎゆくままじっとしているしかない。少なくとも秋の臨時国会までは(解散せずに)行くのでは。  
ムルアカ かつて自民党の大幹部でいらっしゃいましたが、先生の力は(今も)すごく大きいと私は思います。「本当の自民党は自分たち」と先生はおっしゃっていますが、政治の中枢を担っていた人たちが外に出れば、自民党はもたないのでは。現に年金問題以降、あらゆる問題が噴出しているのに、政治が動いていない。先生と同じ立場だった金丸(信)、竹下(登)両先生から、「小泉さんは閣僚としてはいいけど、性格的に総理になったら危ない。日本は混乱する。」と、うかがったことがあります。政治は10年、20年の期間でみないといけないのに、小泉さんにはそれができないと。実際、小泉内閣の頃から真のリーダーが不在となり大臣も昔のように尊敬されなくなった。このままだとアジアの中の日本の存在感が薄くなると心配しています。  
綿貫 まさにリーダーが大事だけど、今はいなくなった形に近い。リーダーは思いつきや権力で政治を動かしたらダメ。小泉さんといえば、私が幹事長、彼が副幹事長のとき、彼は小選挙区制絶対反対を唱えていた。それで後日新しい制度で自分が当選したら、イージーに「小選挙区も悪くない」となっちゃった。そんな思いつきで政治を考えてはいけない。ワンフレーズで大衆に媚びるショーマンがテレビで人気をあおり、禍根を残した。日本の産業が重厚長大から軽薄短小に変わってきたように、政治も重厚さが必要であるにもかかわらず、「携帯電話の政治」になっている。     
ムルアカ そろそろお祭り騒ぎも終わらないといけないと思います。次の衆院選では国民に対して何を訴えますか。  
綿貫 「ブレず、こびず、おごらず」でいきます。私は郵政民営化は間違っていたと今でもいっています。小泉改革による規制緩和は日本の伝統や秩序を壊した。彼を支えた竹中(平蔵)さんは米国と同じようにしようとした。改革の名の下に起こした混乱や破壊を修正するのがわれわれの仕事。規制も何から何までするのではなく、例えば食の安全ではやらないといけない。小泉さんを反面教師にしないと。  
ムルアカ 私は政治が言う構造改革は家のリフォームと同じだと思います。専門家がやらないと失敗して2度と使えなくなる。日本も同じでこの(リーダー不在の)状況下では沈没してしまう。甘い話ばかりでないことを議員は国民にきちんと説明しないといけない。先生には日本が世界を驚かせる時代にしてほしいですね。ところで、国民新党では次の選挙で平沼(赳夫)先生とはどんな協力をお考ですか。  
綿貫 囲碁では陣地を1カ所で大きくとろうとしても負けます。一方、つながった複数の陣地を足すと大きな陣地になる。政治も同じ。平沼さんが(国民新党に)入った方がいいのか、別の陣地を持っていた方がいいのか、いろいろ考えられます。それに白と黒(の2大政党)に混じってグレーゾーンで輝くいぶし銀の国民新党があってもいい。  
ムルアカ 郵政民営化があんなに問題化した背景には、裏でいろいろな動きがあったのですか。  
綿貫 郵政3事業は全国津々浦々、最も頼れるシステムであった。安心してお金を預けたり保険をかけたりできた。そのお金で国債を買うなど、有効に使われてきた。ところが、小泉さんはそのお金でいろいろ使うのが悪いといっていたのに、自分が郵政大臣や厚生大臣のときはいろいろな施設を作っていた。郵政民営化の結果、現在は遅配とか、大変なゴタゴタが起きて瓦解の方向に向かっている。単なる思いつきというか、先見の明のない政策だった。  
ムルアカ 小泉さんが総理を辞めて1年半以上経ちますが、悪政だったとのお考えに変わりはないですか。  
綿貫 日本は世界第2の経済大国だけど、今後は順位が下がる可能性がある。一人あたりのGDP(国内総生産)は18位に、またODAの総額は5位に転落した。郵政民営化は日本の地位低下を示す(象徴的な)例だと個人的に懸念している。小泉内閣は経済政策も間違っていて、福祉には金をかけても道路は無駄使いだといって、公共工事を半分にしちゃった。ところが日本には山があり海があり、災害は絶えず起こる。縮小均衡の財政を目指し、間違った方向にリードしてきた。GDPが増えないのに借金だけを増やしている。竹中さんはプライマリーバランスとか格好良いことばかり言っていたが、全く間違っている。  ムルアカ 今の議員は国家について考えることを忘れてしまった。自分が国民を代表しているという意識がなくなってきていると思います。  
綿貫 議員は税金から歳費をもらっていることを忘れてはいけない。政治家が小粒になったのは、再選と昇進ばかりを考えているから。国益を最優先しないといけないのに、まず自分。その意味でも小選挙区制は良くないと思います。 (構成:井田 通人)

【会想録】 □政治経験豊富な「キング」  
私は鈴木宗男先生のもとで日本の政治を勉強させていただきました。綿貫先生はそのときからお付き合いがある大先輩です。 綿貫先生とは、時には選挙をともに戦い、特には同じ釜の飯を食べ、苦しいときも楽しいときもありました。 綿貫先生は日本の現職議員の中で最も経験豊富という意味で「キング」です。先生には何としても、21世紀の日本の政治・経済を軌道に乗せてもらいたいと願っております。

《プロフィール》綿貫民輔 わたぬき・たみすけ 慶応大学経済学部卒。1959年富山県議会議員。69年衆院選に旧富山2区から自民党公認で出馬し初当選(現当選13回)。国土庁長官、建設大臣、自民党幹事長などを歴任した後、2000年7月第70代衆議院議長に就任。05年8月国民新党を旗揚げし代表に就任する。81歳。富山県出身。

ムルアカ ニッポンをきく09 - 経済産業相 甘利明さん

甘利明

鈴木宗男衆院議員元私設秘書、ムルアカ氏の「ニッポンをきく」。
今回のゲストは経済産業相の甘利明氏。資源外交で世界を飛び回る経産相との話題は先日開催された主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)から、日本企業の海外進出に及んだ。

□国際会議で存在感
ムルアカ 今年は日本で第4回アフリカ開発会議(TICAD4)と北海道洞爺湖サミットが開催されました。経済産業省の取り組みを教えてください  
甘利明経産相 TICAD4では日本流の支援をアフリカに展開することを話し合いました。日本はこれまでアジアの国々を中心に支援し、アフリカは欧米に任せてきました。アフリカは資源も豊富でBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の次に発展する可能性を持っていますが、自立的に発展する方法を知らない。TICAD4で各国の首脳に話しましたが、第二次大戦後アジアとアフリカに投ぜられた政府開発援助(ODA)は同じです。ただ、アジアが自立的発展を遂げたのは、単純に資金を投じるのではなく、自立をするための教育を含めた社会基盤整備を日本が支援したからです。だから、民間投資を呼び込んで発展することができたのです。続いて開催された洞爺湖サミットでも、主要テーマの一つがアフリカ開発でした。ビジネス環境の改善や、アフリカの産品を国際空港などで展示販売するといった販路開拓などについて話し合いました。アフリカ開発は両会議に共通した議題で、両方を日本が主催したことは意義のあることだと思っています。  
ムルアカ 洞爺湖サミットは地球温暖化問題も大きなテーマでした。経済産業省はこの分野で大きな役割を果たしていますね  
甘利 洞爺湖サミットはアフリカ開発に加え、地球温暖化や資源価格の高騰が主要議題でした。地球温暖化問題では各国が2050年までに温室効果ガスの排出量を現状の半分にするという目標を共有することでまとまりました。世界の温室効果ガスの大半はエネルギーから発しており、地球温暖化問題はエネルギー問題と表裏一体のものです。日本は世界の主要国のエネルギー効率の指標になりうるセクター別アプローチを提案し、支持されています。これは主要セクターごとにエネルギー効率を測って基準を算定し、各国の同じセクターに当てはめていくものです。また、日本の省エネルギー技術を世界展開することで一致するなど意義のある会議でした。  
ムルアカ 日本の貢献が認められたということですね。ところで、日本は中小企業が安い労働力を求めて海外進出する一方、若者の雇用不安といった問題が顕在化しています  
甘利 日本はご存じの通り人口が減少し消費者や生産者が減っていく一方で、高齢化の進展で年金や医療など社会保障費は増大します。つまり、お金はかかるが経済は縮小するという非常に頭の痛い問題です。これを解決するには、日本の経済的領土を拡大する必要があります。このため、経産省は東アジア地域と経済連携をする東アジア経済連携協定(EPA)を進めています。中国やインドを含めた東アジア地域は年5~7%の経済成長をしているので、ここに日本の市場をくっつけて大きい市場で商売をすれば経済はまだまだ伸ばすことができます。また、日本企業は価格競争で賃金の安いアジア地域の企業にかなわない。だから、汎用品をつくるだけでなく、付加価値の高い新たな製品を発明するイノベーション(技術革新)の拠点になるべきです。そうすれば生産工場をアジアに移転しても、日本国内の労働者は高い賃金で働くことができます。

□イノベーション創造  
ムルアカ 非常に大切で繊細な問題ですね。私は学者として日本で研究開発にも従事していまして日本企業は高い技術を持っていますが、国内の制度がしっかりしないとその技術が埋もれてしまうのではないかと危惧(きぐ)しています  
甘利 まず、国内でイノベーションを加速する仕組みをどう作るかという課題があります。現在、日本企業が積み上げている海外子会社の利益が約17兆円あるといわれています。海外子会社の利益を日本で使おうとすると日本の高い法人税が課せられることが一因です。この問題を解決するため経産省は来年度、外国で納税済みの純利益について国内に配当で戻すにあたり課税しない税制措置を提案します。そうすれば海外子会社の利益が国内に還流し、新製品の研究開発に投下されて日本の競争力は確実に向上します。また、イノベーションを加速する組織として、「イノベーション創造機構(仮称)」を創設します。米国にはIT企業の役員が退職金を元手につくった2000億円規模のファンドがあり、使われていない特許を組み合わせたり加工したりして新しい革新技術を生み出しています。イノベーション創造機構は人材や資金を提供し、そういったファンドが日本でも設立されるのを後押しする組織です。  
ムルアカ 私はアフリカ生まれの日本人ですが、アフリカには中国などの企業が進出してきていて、日本企業がビジネスチャンスを失っているのではないかと懸念しています。日本企業は海外進出に受け身な印象を受けます  
甘利 確かに、アフリカへの日本企業の進出は少ないかもしれません。先日、中東のイラクを訪問しましたが、イラクでもアフリカでも一番信頼できるのは日本企業だといわれます。契約や納期を誠実に守るのが日本企業の特徴ですから。日本企業は治安が悪い地域への進出に慎重です。このため現地政府の協力で治安についてどんなことが必要か具体的な提案することにしています。例えば、政府が治安にかかわる警察の給与を上げれば治安維持に資するといったことです。また、駐イラク大使と話をした際、イラクでも治安状況に濃淡があると聞きました。北部のクルド人地域は治安が安定しており、テラスで食事をするなど普通に暮らせると言っていました。先日、日本とイラクの官民合同の日本・イラク経済フォーラムを、ヨルダンで開催しましたが、次回はイラク国内の治安の良い場所で開催したいと思います。アフリカでも治安の改善した地域を見極めつつ、民間投資が拡大し、それがさらなる治安の改善につながる好循環を起こすことが大切です。(構成・会田聡)

【会想録】 □政策の話 次から次に  甘利経産相は昔からよく存じ上げています。普段はあまり話す方ではありませんが、政策の話になると非常に積極的です。今回の対談でも、経産省の取り組みについて書ききれないほど、多くのお話をしていただきました。特に技術開発や産学連携について、おっしゃっていたことが実行されれば、大変素晴らしい成果が期待できます。私も科学者として、甘利経産相のご活躍を楽しみにしています。

《プロフィル》甘利明  あまり・あきら 慶応義塾大法学部卒。1983年衆議院初当選。自民党副幹事長、労働相、衆議院予算委員長、党政調会長代理などを経て、2006年経済産業相。「知的財産制度に関する議員連盟」の会長なども務める。58歳。神奈川県出身。

ムルアカ ニッポンをきく03 - 公明党代表 太田昭宏さん

太田昭宏
今回のゲストは公明党の太田昭宏代表。
輝かしい経歴とハンサムな外見で、若いころから「公明党のプリンス」と呼ばれた。
環境問題、チベット問題、解散総選挙…。話題は多岐にわたった。  

ムルアカ お久しぶりです。昔は何度も先生にお会いさせていただいて、公明党の方々とはアフリカ問題で長い付き合いがあります。そこでまずアフリカ開発会議(TICAD)についてお聞きしたいと思います。  
太田 私は1月の衆議院本会議で代表質問に立った際、「日本とアフリカの関係を深化させる絶好の機会。アフリカの発展がなければ21世紀の世界の平和と安定もない」と述べ、7月の洞爺湖サミットとともにぜひ成功させないといけないと訴えました。21世紀はアフリカに時代といわれて久しい。レアメタルなどの資源を抱え、ある地域では紛争が絶えないけれども、アフリカの世紀としてスタートを切るときです。1993年、鈴木宗男先生やムルアカ先生が第1回からTICADを開きましたが、日本の国全体がアフリカに目を向けてきたとはいえない。日本と21世紀のアフリカとの関係を確立する上で重要です。  
ムルアカ アフリカには「子供を産むのは親だけれども、子供の成長は社会の協力が必要ではないか」という意味のことわざがあります。TICADはみんなで育てていかなくてはなりません。ところでサミットでは環境問題も大事なテーマ。日本が環境問題でアピールできることはありますか。  
太田 日本は京都議定書で(地球温暖化ガスの排出量を1990年比6%削減という)重い課題を背負っています。サミットはそれを実行している姿を見せ、議長国としてリーダーシップを発揮するいい機会。そして次のポスト京都議定書をどう始動させるかが極めて重要な課題になりますが、(ポスト議定書には)米中印が加わることが必要です。この前、ブレア英前首相と話したら、「特に米中の加盟が大事で、米国は自分たちが説得しているが、中国はぜひ日本が説得を」といわれました。私もそう思います。韓国もそうですが、今後は中国の役割が重くなる。日本は環境技術が最も進んでいます。5月初旬の胡錦濤国家主席の来日時には環境を中心にした技術交流、技術者受け入れが大きなテーマになるでしょう。私は日中両国が資金を出して環境基金を設立したいと考えています。  
ムルアカ 日中関係はすごく大切で、友人として率直に話す必要があると思います。その中国といえばチベット問題や人権問題を抱えています。  
太田 21世紀は人道の世紀にもしないといけない。国と国の対決図式があったのが20世紀とすれば、21世紀は民族や文化が衝突する時代。デリケートな問題もあります。中国は長年チベットとの民族融和を考えてきました。チベットの人々は人権などでもっと自分たちを認めてほしいといっているのでしょう。対話が非常に大事。それと中国政府はできるだけ正確な実態を示していく必要がある。21世紀はスポーツや文化交流こそ重要です。北京オリンピックについては成功に向け協力する必要がある。  
ムルアカ 五輪に出場する日本の選手は誰も参加しないとはいわないし、五輪を機に中国をよく見て環境問題の現状を詳しく知りたいという人もいます。中国せっかく開催のチャンスを得たのですし、彼らスポーツ選手のことを考えて国を安定させてほしいと思います。ところで、多くの人が道路特定財源問題を心配しています。私は10年以上神奈川県西部に住んでいますが、みんな移動に車を使っています。高いガソリンで国に協力したくとも、家計を考えると不可能に近い。  
太田 ガソリンの(暫定税率によるかさ上げ分の)25円をどうするかに論議が集中していて、本質とずれていると思います。道路特定財源は、現実には都市整備や国土整備の財源になっている。社会資本整備は国の(仕事の)基本。空港や港湾を考えてみても、日本の港湾はハブではなくなってきていて、例えば神戸で積んだ荷物を上海で積み替えることもある。はたしてそれで21世紀の日本は勢いを維持できるのか。道路は経済活性化と生活インフラの2つの側面があり、勢いのある国づくりのためにも、安心と安全の生活のためにも大切なものです。当然、安全を確保しつつ少しでも安く作り、ムダをなくす。そのためにわれわれは暫定税率を維持し、大変申し訳ないけど、これからの日本に使わせていただくという姿勢です。  
ムルアカ 確かに21世紀は日本がもう1回世界を驚かす必要があります。でも一方で国民は財布の中に金がなく、ガソリンが入れられない。もうちょっと「薄く長く」税金をとる方式がないのでしょうか。同じく家計への影響が大きい年金問題でも。もうちょっと「安心してほしい」と国民に強いメッセージがほしいのですが。  
太田 年金記録問題と年金制度問題は別で、記録問題は事件なんです。お上意識でとるものはとっておいて、50年にわたり差し上げるものを差し上げてこなかった。これは徹底的に改革する必要がある。(全年金加入者を対象に送られる)年金特別便は、自分で(記録ミスがあるか)探していくことに協力いただくわけですから、とにかく(分からないことは社会保険庁に)問い合わせていただきたい。  
ムルアカ 小泉(純一郎)内閣時代から改革、改革とすすめてきましたが、本当に改革できたのでしょうか。不安なことばかりで言葉だけが踊っているといいたくなります。最後に衆議院の解散ですが、ズバリいつでしょうか。  
太田 小泉さんが総理のときに、私は「構造改革というけど政治より世の中の方が早く構造変化している。それにどう素早く対応できるかが政治に求められている」と申し上げました。グローバリゼーション、少子高齢化という構造変化を政治がどう感じ取れるか。政局で動くのではなく、この国をどうするのかという意識で政治に取り組まないといけない。公明党としては、庶民や中小企業、地域で困っている人の側に立って考える姿勢を堅持し、実績をみていただく選挙にしたい。解散総選挙は秋以降と私はいっています。9月だと(前回選挙から)ちょうど3年たつ。正確な時期は政治が動いているので分かりませんが。  
ムルアカ ポスト福田を考えるより、まず日本をどうするかが大事ということですね。今日はありがとうございました。
(構成:井田通人)

【会相録】
□「国民の目線で」頑張って  
太田代表のことは昔からよく存じ上げております。今、政府与党は政権運営で難しいかじ取りを強いられています。後期高齢者医療制度問題、年金問題、食料の安全問題、ガソリン税問題・・・。国民の生活に直結している問題ばかりです。公明党は「国民の目線」というスローガンを揚げています。与党としての責任は重大ですが、太田代表なら若さもあり、頑張って乗り越えられると信じています。

《プロフィール》太田昭宏 おおた・あきひろ 昭和46年京大工学部大学院修士課程修了。大学では相撲部主将を務める。公明新聞記者を経て、平成5年衆議院選挙で旧東京9区から初当選(現在当選5回)。公明党幹事長代行などを経て、18年9月から代表。62歳。愛知県出身。

ムルアカ ニッポンをきく11 - 民放連会長(テレビ朝日取締役相談役)広瀬道貞さん


今回の「ムルアカ ニッポンをきく」のゲストは民放連会長の広瀬道貞氏。
デジタル放送の話題に加え、ムルアカ氏が「テレビの報道が軽い」と熱く批判すると、広瀬氏がやんわり。この続きは「ビートたけしのTVタックル」でいかがでしょうか。

ムルアカ 5月末のTICAD(アフリカ開発会議)や7月のサミットでは、民放連に多大なご協力をいただき、ありがとうございました
広瀬道貞日本民間放送連盟会長 ムルアカさんはアフリカ諸国に人脈がありますねえ。
ムルアカ(コンゴで)大統領のアシスタントをやっていた関係です
広瀬会長 日本を世界の視点でみられる人とお会いできて…今日は私が意見を伺う方です。
ムルアカ 放送といえばデジタル化が進んでいます。まずはその状況を教えてください
広瀬会長 1998~99年ごろに政府がデジタル化をうたい始めました。日本には127社の(民放)テレビ局がありますが、最初はみんな反対ないし慎重でした。当時はNHKがアナログハイビジョンという鮮明な画像を実現する素晴らしい技術を推進していて、「なぜデジタル化が必要なのか」と抵抗したんです。しかもやっとアナログ放送が全国をカバーするまで中継局を設置したのに、また新しい中継局を置かないといけない。踏み切らざるを得なかったのは、電波帯域に限りがあり、有効活用して携帯電話のためにも帯域を確保しないといけなくなったためです。デジタル技術はパソコンや携帯電話で画像をやり取りできたりと、利点が大きい。将来を見据えるならデジタル化した方がいいと、ようやく賛成したのです。日本のテレビ局は真面目で、いざデジタル化が決まると非常に熱心になった。今では全国93%の地域をカバーしています。こんなにカバー率が高い国はありません。NHKを含め全国の放送事業者はよく協力したと思います。
ムルアカ 地方は経済的に厳しく、各局投資が大変です
広瀬会長 2007年度はデジタル化のため赤字になった局がけっこうありました。08年度はもっと増えそうです。127社のうち4割近くが一時的にせよ赤字になるでしょう。
ムルアカ テレビを買い替えるのも負担が大きい
広瀬会長 何といっても大変なのは消費者が買い替えられるか。政府や自治体が支援すべきです。でないとデジタル(情報)格差ができる。ようやく政府も来年度予算で家庭への支援を始めると思います。この2、3カ月以内に内容が発表されるでしょう。ただテレビの値段は必ずしもアナログより高くないんです。おそらく普及期のアナログと同じくらい。
ムルアカ ところで今のジャーナリズムですが、私は報道の仕事をしていたので若干崩れていると気になります。テレビの使命をどう思われますか
広瀬会長 どのあたりが問題だと思われますか。
ムルアカ テレ朝ではありませんが、他局では歌手が報道したりする。バラエティー番組が氾濫(はんらん)し、若者がニュースをみて社会を知ろうとしないのも心配です
広瀬会長 報道の重要性(への意識が)軽くなっているということですね。新聞は取材した人が記事を書き、それが紙面に載る。中身は記者そのものが問われる。しかしテレビはアナウンサーなりキャスターが取材者と視聴者を結びつける。あとNHKと民放の報道姿勢は相当違う。NHKはいろいろな見方を取り上げ、より公平性を意識している。結果、視聴者はメッセージ性のなさに物足りなさを感じている。確かに、放送法上は客観性を確保する必要があります。でも、ある種のメッセージを伝える必要性はある。それをうまく伝える工夫をすることは一つの責務です。私たちは報道とバラエティーを区別していますが、テレビ朝日には「ビートたけしのTVタックル」という番組があり、そこでは政治家や政治評論家が露骨に言い合っています。これはバラエティー番組と位置づけています。政治を視聴者に知ってもらうには争点が出る方が分かりやすい。あの番組で政治が分かったという人、結構いるんです。
ムルアカ ただ全体でみるとニュース番組の重要性が軽視されているように思います
広瀬会長 私の心配は、一つは新聞が典型ですが、活字離れで買って読む人が減っている。記者も減っている。特に欧米はそう。本当のジャーナリズムは自分で調べ、自分で分析する。その集積が正しいジャーナリズムの世界を作る。でも今のテレビはコメンテーターに意見を聞くとき最初から色のついている人を呼びたがり、コメントの内容が視聴者には事前に分かっている。そういう安易な人の出し方をするとチャンネルを変えたくなる。最初にストーリーがあるのは正しい意味での報道ではない。
ムルアカ 日本では報道内容が横並びで、事件や事故があると一方に流れてしまう
広瀬会長
 私も新聞記者時代を含め(メディア業界で働いて)50年になりますので、少しは貢献したいと思っています。たとえば日中関係でいえば、靖国神社参拝問題や「毒入りギョーザ事件」で対立が目立ち、(メディアが)両国関係を悪くする方に働く場面が多い。そこで昨年末に日中の記者が一堂に会して相手へ不信感をぶつけ合う「日中ジャーナリスト交流会議」を電通最高顧問の成田豊さんを中心に開催し、中国から8人、日本から8人に来てもらいました。非公開の議論で大きく報道されませんでしたが、日ごろの疑念をぶつけ、向こうもそれを受け、とても良かった。今は2回目が終わったところで、あと3年は続けたいと思います。アフリカのことももっと報道しなければいけないのですが、いかにも遠い。経営者はもっと記者を出して世界理解の地盤を作る必要がある。
ムルアカ アフリカには53カ国あり、世界の国の約4分の1を占めます。でも日本のジャーナリズムはほとんど現地に行けていない
広瀬会長 TICADは現地でどう受け止められてますか。
ムルアカ 好意的です。ただ今回4回目なのに、まだ具体的な成果とまでいえるものが出ていません。彼らは具体的成果を期待しています。早くしないと欧州や中国が押さえてしまう。ところで秋葉原の通り魔事件や少年のバスジャックなどの事件が起き、社会不安が広がっています
広瀬会長 テレビの矛盾は犯罪のない国を目指しているのに、実際に報道すると(まねして)犯罪が次々出てくること。犯罪を流行させる部分はある。でも、まねされるからといって報道しないのも違う。デジタル化で127局はそれぞれ地域に根ざした情報を発信していくでしょう。それによって落ち着きのある社会がつくれるというほのかな期待はあります。
ムルアカ 最後に「テレビの品格」をどう思われますか
広瀬会長 ニュースもドラマもバラエティーも映画も全体として愛してもらうのがテレビだと思います。そうした中で、社員が(魅力的な番組を)生み出す社風を作ることが品格になるのではないでしょうか。安易に「これなら数字がとれる」というだけならテレビの世界で働く者としてふさわしくありません。創造的に社会へ何かを伝えていくことが大事です。(構成・井田通人)

【プロフィル】広瀬道貞
ひろせ・みちさだ 慶大法卒。1958年朝日新聞社入社、政治部記者、論説委員、大阪本社代表などを経て、97年専務。98年テレビ朝日副社長、99年社長、2005年会長、今年6月から取締役相談役。06年から日本民間放送連盟会長。73歳。大分県出身。

【会想録】 □報道の師匠に
広瀬会長のお名前はもともとよく知っていました。ジャーナリストとしてトップクラスの方です。今回は対談をさせていただいてとても勉強になりなした。お会いしてみて、きちょうめんでずば抜けた分析力、頭の良さ、優しさ、広い心を持っている方だと思いました。私のジャーナリズムの師匠にしたいと思いました。

ムルアカ ニッポンをきく05 - 神奈川工科大理事長 中部謙一郎さん


鈴木宗男衆議院議員元私設秘書、ムルアカ氏の「ニッポンをきく」の今回のゲストは神奈川工科大学理事長の中部謙一郎氏。
アフリカ開発会議が開催されたことで、話題は自然とアフリカ関係に。大学教育や国際化と共通の話題に話が弾んだ。  

ムルアカ 私は神奈川工科大で国際センタースーパーバイザーや特任教授を務めています。神奈川工科大は、「すべては学生のために」をモットーに、さまざまな改革に取り組んでいることで知られ、アフリカ諸国の大学生との交流にも大変熱心です。アフリカ問題といえば、ちょうど「第4回アフリカ開発会議(TICADⅣ)」が5月28日から30日まで横浜市で開催されましたが、まずは同じ県内にキャンパスを持つ大学として、アフリカとの関係についてお聞かせください。  
中部謙一郎理事長 杉山秋雄前学長とムルアカさんのご尽力で、アフリカの11大学と国際交流協定を結び、今は大学院博士後期課程を含め、3人の留学生を受け入れているほか、協定大学に実験装置などを送っています。その関係で、協定大学のある国のVIPや駐日大使もよく本学を訪ねてくださいます。しかし、アフリカとの交流はまだ活発とはいえない。特に留学生については費用の問題を解決しないといけない。日本が国費留学生を増やすのは当然として、留学費用を貸し付ける場合でも、20年、30年の長期で返済する形をとれればもっと門戸が広がると思います。本学を創設した中部謙吉は、1人でも多くの若者に勉強の機会を与えたいと思っていました。それを留学生支援にもあてはめたい。  
ムルアカ 前にお会いした森喜朗元首相は、「中国のように(箱モノという)ビフテキではなく、本を渡すべき」とおっしゃっていました。森先生がおっしゃりたかったのは、まさに教育支援が大事ということ。アフリカから日本への留学生は、全留学生約11万9000人(2007年度)のうち、6.8%でしかない。私にとって学者としても悲しい現実です。  
中部 現状では金銭的援助をしても、どこにお金が渡っているのかはっきりしない。教育こそ最大の武器であり、国を発展・成長させる最も重要な手段なのに、支援方法が確立されていない。そこでアフリカと多くの窓口をもつ本学の出番があると思っています。  
ムルアカ 驚いたのは、杉山前学長が5年前に自らアフリカに行かれ、ウガンダやタンザニアなど約6カ国を訪問されたこと。これだけ多くの国を訪れたのは、日本の大学の学長では初ではないでしょうか。  
中部 いかに日本の大学が欧米と比較して、アフリカやアジア、また他地域で可能性がある国々に対し、積極的に取り組んでいないかということだと思います。本学では私も近く訪問したいと思っていますし、もっと多くの学生を受け入れたいと思っています。  
ムルアカ ところで日本の大学が厳しい経営環境にある中、神奈川工科大は就職希望者の内定率が99・1%(07年度)と高いことで知られています。工学系では、ユニークな女子学生専用施設(KAITホール)や、建築デザイン界で評判となっている創作活動専用施設(KAIT工房)があり、9月には学生の各種受付・相談窓口や教室等に使用する学生サービス講義棟も完成します。施設や設備が充実し、学生の面倒見のよい大学として安定した経営を続けておられますが、どんな経営スタンスをとっていますか。 □サービスを充実  
中部 私立大は民間企業と思って経営に取り組み、また当然ですが、学生が主役と考え、学生へのサービスを積極的に充実させています。例えば学生の心のケアを考え、数人の臨床心理士を常駐させ、精神科医もいます。06年には全国の大学で初めてICカードやIT(情報技術)を駆使した「モバイル学生証」を導入し、携帯電話を学生証として利用することで出欠情報確認や学内のキャッシュレス化ができるようにしました。もっとも、教授などの教育職員に対しては、資本の論理は通用しません。常に話し合って理解を求めつつ、進めねば大学改革は成功しません。そこは大学独自の組織作りが必要で、公益法人として公的資金が投入されていることを頭に入れつつ、学校法人と民間企業をミックスした「大学株式会社」であることが必要だと思います。ちなみに、これは株式会社設立の大学とは違います。今後は学部学科や施設をはじめ、どれだけ魅力ある商品をそろえ、卒業後も含めて付加価値を与えられるかが存続の条件になるでしょう。もちろん社会の厳しさを教えることも必要です。  
ムルアカ 創設者の中部謙吉氏は、大洋漁業(現マルハニチロホールディングス)社長でもありました。大学は創設者の遺志を忘れがちですが、はっきりした経営ビジョンを持ち、謙吉氏の志をしっかり受け継いでいるんですね。  
中部 創設者は私の祖父ですが、高等小学校卒。今でいう中卒なんです。1人でも多くの若者に勉強の機会を与えようと、63年に大学の母体となった幾徳工業高等専門学校を創設しました。55歳を過ぎて大洋漁業の社長になってからも、東大や一橋大の教授を自宅に呼んで勉強していた。学問の重要性を学者以上に知っていた。  
ムルアカ 謙吉氏はアフリカとの交流に関しても先駆的役割を担いました。  
中部 大洋漁業は戦前からの経験を生かし、戦後いち早く海外事業を展開し、マダガスカルやモザンビーク、カメルーンなどに進出しました。「アフリカの人々が困っている。じゃあ行こう」と。人と人とのつながりを大切にし、現地の人々を雇って技術を教え、いっしょに仕事をした。ビジネスでもお互いが幸せになることを信念としていた。そんな美学を持った人でした。  
ムルアカ 世界でグローバリゼーションが進んでいますが、日本は遅れています。  
中部 そう。先進国で日本ほど遅れた国はない。国際化というのは英検1級をもっている人が多ければいいものではない。他国の人々をどれだけ受け入れられるか、文化や習慣の違いをどれだけ理解し、尊重し合えるかが大事だと思います。そこから真のコミュニケーションが生まれる。私の恩師で本学の顧問弁護士をお願いしている木川統一郎先生(元中央大学教授)は、事務所に毎年複数のドイツ人修習生を迎え入れ、懇切な指導と交流を数十年続けておられ、私たちもその中で薫陶を受けましたが、まさにこのような活動こそ真の国際化に貢献するものだと思っています。ドイツもその功績を理解し、最大級の勲章を贈っています。  
ムルアカ 最後に今の学生をどう思いますか。 □足りない競争心  
中部 本学の学生を見ていると、まじめで大人しいが、何か物足りない。なにが足りないかというと競争心。われわれの時代は、小学校も中学校も1クラス50人で10クラスあった。学問を教えるには少人数制の方がいいが、良い意味で競争心を育て、精神的な成長を促すには多人数制も悪くない。  
ムルアカ 私も競争心は大切だと思います。  
中部 ムルアカさんは厳しい世界で生きてきたから。日本が平和であることはすばらしいが、ぬるま湯の中で感性や競争心が麻痺してしまっている人が多い。学生の中に眠る感性と競争心を呼び起こして社会に送り出したいですね。(構成・井田通人)

【会想録】 □大学の10年、20年先を想定  
理事長とは数年のお付き合いになりますが、いつも誰に対しても腰が低く、みんなに対して同じように接してくれる方です。つねに大学の将来を考え、10年、20年先のことを想定し、お会いするたびに教育のあるべき姿を話していただいています。男女平等を尊重する方でもあり、ぜひ今後も教育の分野で貢献していただきたいと思っています。

《 プロフィール 》中部謙一郎 なかべ・けんいちろう 
青山学院大経営学部卒。1987年学校法人幾徳学園・神奈川工科大学理事就任。常任理事、副理事長を経て、2002年理事長。財団法人中部奨学会理事長、日本私立大学協会評議員、社会福祉法人玉扇会評議員。そのほか医療法人理事、企業役員などを歴任。51歳。東京都出身。

ムルアカ ニッポンをきく06 - 安女学院大学客員教授 野中広務さん


今回のゲストは元衆議院議員の野中広務さん。
町議会議員から叩き上げ、一時は“影の総理”とも呼ばれた実力者。
引退した今なお小泉純一郎元総理の構造改革の負の要素とされる格差の拡大を激しく批判し、現役議員に目立つパフォーマンスの重視に警鐘を鳴らす。  

ムルアカ 私が鈴木宗男先生のもとにいた時から、大変お世話になっています。先生は2003年の国会解散を機に政界から引退されましたが、知られていないその理由を教えていただけますか。  
野中広務さん 私は小泉内閣が米国の市場原理をそのまま日本に移し替え、日本のよき伝統や文化を持つ地域社会が完全に壊されていくのを非難しました。同じ考えだった仲間が総裁選で発起人として署名したり、小泉さんについていく姿をみて、「これは日本の政治が失われる」と。日本のことや国民のことを真に考える政治家がいなくなり、大きな流れに流されていると感じたのです。小泉氏と同じように議員バッジをつけるのは恥ずかしい。それで告示の翌日に会見して辞めました。

□首相が落ち穂拾い  
ムルアカ 重い判断ですね。その政界はねじれ国会となって政界再編もうわさされています。  
野中 政界再編があるかどうか分かりませんが、とにかく本気で自分の体をなげうち、国家のために働く志のある政治家がいなくなった。その中で、福田(康夫)首相は苦しみながら、辛抱しながら着実に小泉路線を変えようと努力している。公務員制度改革基本法を成立させ、道路特定財源を一般財源化した。支持率が低いながらも一生懸命小泉の落ち穂拾いをやっている。  
ムルアカ 今は福田さんが首相に適任だと。  
野中 有望な政治家の名は挙げられませんが、福田さんが一番だと思います。  
ムルアカ 後期高齢者医療制度の見直しが焦点になっています。  
野中 後期高齢者医療制度の対象者は、戦争に負けた後の国を支え、国のために一番苦労してきた。なのに一番税金を高く払わないといけない。これはみんな(制度をスタートさせた)小泉氏の後始末。もう1度検討して、格差を是正できる政治を取り戻して欲しい。  
ムルアカ 小泉さんはかつて先生や宗男先生を抵抗勢力と呼んだ。宗男先生は国策捜査を受け、いまだに〝大きい荷物〟を背負っている。  
野中 私は宗男さんをああいう状態にしてしまったことを悔いても悔やみきれない。ロシアとの問題や樺太交流、北方領土返還をあれほど考えた人はいない。沖縄、北海道、あるいは中東と、アフリカと、(重要な政治課題を抱え)人が好んでいかないようなところへ行き、多くの人と交わり、信頼関係を築いた。それがある人にとって邪魔だったのでしょう。  
ムルアカ 佐藤優さんも・・・。  
野中 佐藤君は外務省にいて、ロシアのエリツィン大統領が失脚する3日前に僕の携帯電話へ留守電を入れてくれた。佐藤君の情報収集力に助けられたことが何回かあった。  
ムルアカ 真実はどこにあるのかと疑問に感じます。ところで拉致問題ですが、拉致被害者の5人が帰国してから動きがありません。  
野中 拉致問題は人道問題である一方、核問題は6カ国協議で話し合っているので、拉致問題の解決を進める上で日本が協議から外されないようにしないといけない。安倍内閣で拉致問題が解決しないなら一切、食糧援助しないという決定をしたが、私は胡錦濤さんが来日する前、4月に胡さんや武大偉さん(外交部副部長、元駐日大使)に会い、「日本があまりにも頑なに食糧援助しないようだと、日本を(6カ国協議から)外さざるを得ない」というような言い方をされました。「そんなことはない。最終的に日朝が国交正常化して賠償金を支払わなければならないのは日本ですよ。他の国は一番よく知っておられるから、日本は各国の顔が立つようにしながら拉致問題を動かさないといけない。(協力を)頼む」と。私はこのごろ少し前進の予感があります。

□劇場型民主主義  
ムルアカ 今の若い政治家についてはどう思われますか。私はワイドショー的でパフォーマンスばかり目立つのが気になるのですが…。
野中 劇場型民主主義ですよ。彼ら(一部若手議員)の視線は、国民の現状に向いていない。(現在の小選挙区制を改めて)ひとつの選挙区から複数の議員が選ばれるようにしないといけない。  
ムルアカ 国会議員は国家を考える人たちなのに、単純な気持ちを感じます。21世紀は環境をはじめ大きな問題があり、日本の役割は大きいと思います。
野中 小泉氏という独裁者を国民が狂ったように支援し、それをメディアが劇場のように報じてきた。こういうのが横行したら私には責任が持てない。だから議員を辞めたのです。残った人たちが一刻も早く(元の政治に)戻してほしい。財界だってそう。規制緩和を主張したオリックスの宮内(義彦)さんが村上ファンドに金を出したり、セコムの飯田亮さんが特殊法人改革や規制緩和にかかわりながら医療分野に参入したり。こういう人が日本をメチャクチャにしていく。まともな国にしようとした公務員を悪人のようにしたら公務員は志を失ってしまいますよ。今、優秀な学生はほとんどが外資系企業に就職している。優秀な頭脳を持つ人が公から外れるのは国が傾くひとつの兆候だと思います。公務員改革をストップした福田首相の決断は立派でした。昔の政治家は小渕(恵三)さんも竹下(登)さんもよくやったし、竹下さんは身を捨てて消費税を導入された。宮澤(喜一)さんも僕らも批判しましたが、苦しい中でリーダーシップを発揮された。中曽根(康弘)さんも電電公社を改革された。これは郵政民営化とは違います。

□大阪人の根性なさ  
ムルアカ 先生は京都のご出身ですが、関西の地盤沈下がいわれています。
野中 関東とは経済をはじめ大きな差がある。何もかも東京に集中しすぎている。地の利もあるでしょうが、関西の人にも責任はある。大阪で生まれた企業が本社を東京に移している。そこは大阪人の根性のなさだ。京都は世界で認められている企業がいくつかある点では誇れます。関西はもう1度団結して、土地の魅力を高める必要がある。例えば中国と距離的に近いし、いい関係にある。しっかりやってくれないと困るが、大阪は府と市が対立しているようではよくならない。  
ムルアカ 先生は行政と議会をひと通りご経験されています。その貴重な経験をいかし、次の世代を指導していただきたい。  
野中 今は自民党にも野党にも好きなことがいえるので一番気楽な立場です。とにかく、小泉氏は人間の尊厳をなくした。ここから改めないと。日本は国民1人あたり600万円の借金があると脅され、だんだんと予算を切られた。でも日本はよその国から借金をしていないんですよ。他国から借金していないことに自信を持たないと。小泉氏は63兆円の米国債を買って円高是正に使った。紙くずにもならないのに。今はまだデフレだから景気対策をやらないと。そして(景気が良くなり)税金が集まるようになって経済が復興する。今は国が金を使わないから国民負担が大きくなり、消費税に安易に手をつけようとする。これを改めないと日本人のみんなが幸せを感じられないと思います。(構成・井田通人)

【会想録】 □豊富な経験、伝えて欲しい  
野中先生にお会いしてから十数年経ちますが、特に深いお付き合いがあったわけではありません。ただ、若い議員たちが尊敬していたことが、とても印象に残っています。先生がいたからこそ、当時の若い議員が緊張感をもって行動していたと言えると思います。先生は町長や副知事も経験され、日本の行政を知りつくされていました。政治が迷走する今、豊富な政治経験を若い議員に伝えていただけることを願うばかりです。

《 プロフィール 》野中広務 のなか・ひろむ 
京都府生まれ。1951年園部町議選で当選。園部町長、京都府副知事などを経て、83年衆院初当選(以降当選7回)。自治相、官房長官、自民党幹事長などを歴任。2003年に政界引退。現在、平安女学院大学客員教授ほか。82歳。

ムルアカ ニッポンをきく23 - 学校法人加計学園理事長 加計孝太郎さん


■世のために危機管理学
 「ムルアカ にっぽんをきく」の今回のゲストは岡山理科大など全国に35校もの学校を経営している学校法人加計学園の加計孝太郎理事長。
ムルアカ氏は対談のなかで、危機管理学部や生命科学部など時代を先取りする学部を作るなど、学校は教育の場であるとともに、まさに企業であると再認識させられた。

ムルアカ氏 理事長は中国地方を中心に、幼稚園から大学までいくつもの学校を運営されており、先進的な取り組みでも知られています。今日はそうした取り組みについて話をうかがえればと思います。学園の簡単な歴史について教えてください
加計孝太郎・加計学園理事長 広島の広島英数学館という予備校から始まったんです。戦争で出征した父(加計勉氏)が終戦で郷里に帰ると、原爆の被害を受けた広島は焦土と化していました。その後、広島文理科大学(現広島大学)を卒業すると、1955年に予備校を作りました。それを土台に62年、岡山県に岡山電機工業高校(現岡山理科大学附属高校)を開校。さらに大学の認可を得て、岡山理科大学ができました。それからは地域から申し出があって学校を作るケースが多かったですね。今は35校を運営しています。
ムルアカ 長い歴史があり、地域からの要望も多いということですね。最近では2004年に千葉科学大学を銚子市に開校されています。その中に危機管理学部という異色の学部があります
加計 米国のフィンドリー大学の理事をしているんです。見学するとここは、馬術学部などをもつユニークな大学で、その中に危機管理学部もありました。米同時中枢爆破テロ事件の6年前に作っていたんですね。テロ事件ではいち早く学生がボランティアとして現場に向かい、水や食糧をいち早く供給しました。日ごろから訓練していたんです。米政府もこれを高く評価しました。ちょうどそのころ、以前に岡山県副知事をしていた銚子市長から、高等教育機関を設置してほしいとの誘致に話があり、危機管理学部と薬学部を持つ千葉科学大学をつくりました。初年度は1次合格者の7割ぐらいの合格率で消防庁をはじめ、警察庁、防衛省などの公務員試験に合格しました。
ムルアカ 危機管理分野はまだ研究が浅く、日本だけでなく、世界全体にとってこれからすごく大事ですね
加計 千葉科学大学には薬学部も併設しています。薬学は鳥インフルエンザや新型肺炎(SARS)に関連していると同時に、危機管理も関係が深い。それらを日本の中に入らないようにすると同時に、日本の危機管理や薬学を学んだ人が世界で活躍するようになれば、世の中のためになるのでは。
ムルアカ 前にテレビで「アクアバイオ」という、すごく面白い話題を取り上げていました。グループで研究しているそうですね
加計 もともと岡山理科大学専門学校に「アクアリウム学科」をつくったことから研究が始まったんです。川が海に注ぐ場所、つまり河口には淡水魚と海水魚が共生してますが、同じ環境を(養殖のために)他の場所で再現できないかと思ったんですね。それで、海水魚と淡水魚が共生できる“好適環境水”を開発しまして、岡山駅に設置している水槽を見るとびっくりしますよ。タイと金魚がいっしょに泳いでいるんですから。試食会で養殖したタイやふぐを食べましたが(天然モノと)遜色(そんしょく)ないんです。しかも1・35倍の速さで成長するんです。将来的にはマグロまでいきたいということです。ダムなどで海魚を養殖できれば食糧問題の解決にも役立ちますから、すごく期待しています。
ムルアカ 最近は食糧問題が深刻化する一方、食文化が多様化・グローバル化し、生魚を食べない国の人も食べるようになっています。すごく重要な研究ですね。ところで倉敷芸術大学といえば生命科学部という学部があり、受験倍率が高いとか
加計 生命科学部では臨床検査技師、臨床工学技士、細胞検査士などの、救急救命士といった医療系の資格をはじめとするさまざまな資格を取得することができます。動物関係の研究にも取り組みたいと思って開設したんですが、これからは人と動物が共生しないといけませんし、重要性が高まると思います。将来的に獣医学部の設置を視野に入れた形で進めています。動物も人間も基本的なシステムは変わらないと思うんですよ。鳥インフルエンザ、BSEのように動物が原因で人が病気になるケースもありますからね。
ムルアカ 医療関係者の充実にも役立つ
加計 今の日本は人口が減少し、労働力も減りつつあるのに、医療分野では労働力確保が大変なんです。看護師や介護福祉士の育成が急務なのに、給料がすごく安い。特別養護老人ホームは順番待ちになっているにもかかわらず、世話する側の人材を育てようとする学校に入り手がいない。医療に限らず、さまざまな分野で学生が減っているし、海外から学生に来てもらい、日本で教育を受けてもらって、日本にとどまってもらえるといいと思うんですが。国のためにもなると思います。
ムルアカ そうですね。教育は日本だけでなく、グローバルで考えないといけない
加計 このあいだインドネシアから介護福祉士や看護師をめざして約200人の方々が日本に来ましたが、彼らは5年のうちに資格をとらないと帰国しないと、日本にとどまれない。欧米ではアジアの国々の資格をそのまま認めましょうというところまで来ているのに、日本では日本の資格を取得しないと認めないなど、対応が遅れています。
ムルアカ 最後に35のも学校を運営するのは大変でしょうが、今後の抱負を教えてください
加計 どんな学生にもいろいろな能力があり、それを最大限に引き延ばすことが使命だと思っています。これは建学の理念でもあります。その上で時代のニーズに合わせた運営をしていきたいですね。物理や数学といった基本的な学問分野をなくすことは考えられませんが、例えばその分野の定員80人を50人に減じ、その減じた30人を使って、新しい学部・学科の設置にチャレンジしていきたいですね。父いわく、いくら立派な先生がいても、研究の場がないとどうしようもない、と。それを提供するのが自分の役目だと言うんです。私も同感です。学生が個々の能力を伸ばせるような研究の場、施設を提供していきたいですね。(構成・井田通人)

【プロフィル】加計孝太郎
 かけ・こうたろう 立教大学文学部卒。1971年から学校法人加計学園の要職を歴任。現在、加計学園理事長・総長、広島加計学園長、米国フィンドリー大理事、日本私立大学協会理事、岡山県国際交流協会理事、岡山県郷土文化財団理事などを務める。57歳。広島県出身。

【会想録】たいへん心の大きい人
 加計さんは教育について全身全霊をかけて取り組んでおられます。加計さんと出会ったのは私がどん底の時、誰もが私に最も会いたくない時期でしたが、それでも私のことを快く理解してくれました。大変大きい心の持ち主です。これからグローバルの日本と世界の教育のためにともに将来を築いていきたいと願っております。

ムルアカ ニッポンをきく最終回 - 衆議院議員 安部晋三さん


■肩書生かし国際活動
 「ムルアカ ニッポンをきく」の最終回のゲストは元首相の安倍晋三衆院議員。
「辞任の真相」「健康問題」「入閣」などシビアな話題だったが、ムルアカ氏とは家族ぐるみのつき合いをしているだけに、終始なごやかムード。健康を回復した安倍氏には拉致問題に取り組んでいたころのような精気がみなぎっている。

◆腸炎に耐えられず
ムルアカ氏 私は鈴木宗男先生と出会い、政治にかかわるようになりました。その当時、外務大臣だったのがお父様の晋太郎先生です。晋太郎先生にもよく声をかけていただきました。今日はご自身の今後や、混迷の度を深める最近の政治などについてお話をうかがえればと思います。地元の山口では大変人気があるようですが、まずは支持者たちとともにどのようにこれからがんばっていきますか
安倍晋三衆議院議員 今まで(1993年以来、衆院選に)5回当選して、15年選手になりました。それぞれの選挙を高い得票率で当選でき、(有権者のみなさんには)感謝しています。でも今度の選挙は私自身への(首相辞任に対する)さまざまな批判があるなか、厳しい戦いになると思います。健康を回復し、(辞任後は)一議員として原点に戻り活動してきました。なるべくたくさんの方の声を聞こうとして、(地元では)6月から120回近くミニ集会を開いてきました。「もう少し何とかならないか」とか、率直なご意見やご質問をいただきました。今まで東京での活動が忙しくて、直接地元の方々にお話をうかがう機会が少なかったので、良かったと思います。
ムルアカ 昨年9月に病気のため首相を辞められたわけですが、まだまだ安倍さんの真意が伝わっていない点が多く、真相を知りたいと思っている読者も多いと思います。もう一度ご本人から経緯を説明していただきたいのですが
安倍 今までにもずいぶん説明してきましたが、残念ながらテレビやマスコミになかなか体調について説明してもらえないことが多いですね。昨年(8月のインドネシア、インド、マレーシア訪問に伴う)外遊の際、ウイルス性の腸炎をわずらい、それが回復しなかったんです。もともと潰瘍(かいよう)性大腸炎という難病の持病があって、幹事長や官房長官を務めた際に再発しなかったので、首相になっても大丈夫と思っていたのですが。「ここは何とか乗り切りたい」と考え、(9月10日の)所信表明演説まではたどり着くことができましたが、とても長期にわたる国会での質問に応じられる体調ではないと判断しました。民間企業であれば代理を置けばいいことですが、病気で代理を置くことができないと法律で決まっていますので、辞めざるを得ないと。もっと早く判断すべきでしたが、何とか乗り切ろうと頑張った結果、かえって国民に迷惑をかけてしまいました。

◆権力者は常に孤独
ムルアカ かつて私がつらい思いをしたのは内閣総理大臣をされた大物の小渕恵三さんが病気で倒れてしまい、そのまま帰らぬ人となられたことです。あの時、こうすればよかったのに、ああすればよかったのに、と思うばかりです
安倍 命が惜しいのではなく、健康ではないと正しい判断ができないと思ったんです。首相は自衛隊の最高司令官でもある。国民の生命を預かっている以上、総理の職責を全うできないなら辞めるべきだと判断したんです。(他の多くの政治家と同じく)総理になるために政治家の道を選択したわけで、そう簡単に辞める判断はできないですし、ほうり出すはずがない。私も何とかならないかという中で判断したんです
ムルアカ 福田康夫さんも先日突然辞任されました。多くの人が官邸および公邸にはモンスターが住んでいるんじゃないかと。
安倍 官邸に入ることと首相のイスに座ることは、特別な責任を伴います。国民の生命・財産を守る立場ですし、新たな国の歴史を作っていかないといけない。間違った判断をすれば、とんでもないことが起こります。公邸では毎日(自分の政治が)正しいのか自問自答していました。
ムルアカ 亡霊が出るといううわさも。
安倍 (笑って)うわさは知っていますが、感じたことはありませんよ。でも外界と隔絶されている世界。自宅のように散歩するわけにはいきません。でもそれに耐えないといけない。権力者は常に孤独ですから。
ムルアカ 総理経験者として、これからの日本はこの難局を乗り切るにはどうすればよいと思いますか
安倍 今の日本が置かれている難局は、当面はサブプライムローン問題に端を発した金融不安と、原油高への対処。日本は石油やエネルギー資源を海外から輸入していますので、原油高の影響を直接受けますから。同時に構造改革の中で地方が大変苦しんでいる状態なので、経済が上向きになるよう成長のためあらゆる政策をとるべきだと思います。麻生(太郎)さんは今の状況を「全治3年」と表現して、第1弾として総合経済対策を実施すると思います。

◆次の選挙で信任を
ムルアカ この対談の第1回目には奥さまの昭恵さんにもご登場いただきました。いつも二人三脚で活動されていますが、元総理夫人の立場として国際的に活動していってはいかがでしょうか。
安倍 男性の政治家の場合、奥さんの助けがなければ活動はできません。私も妻と二人三脚で政治家人生を歩んできました。特に地元の後援会などは妻に任せていましたし、外遊にもついてきてもらいました。妻の方にスポットライトが当たっていることもありましたし。
ムルアカ ご自身の今後は
安倍 今度の麻生政権がしっかりと政策を遂行できるよう、元総理として応援団を務めないといけないと思っています。国際化の時代なので、さまざまな形で国際活動にかかわっていきたいと思っています。すでに4月に行われたドイツの産業見本市「ハノーバーメッセ」に出席しましたし、森(喜朗)さんも5月のTICAD(アフリカ開発会議)成功に尽力しました。妻はアジアに学校をつくる活動に力を入れていますが、そういうことも含め力を入れたいと思います。
ムルアカ 麻生内閣の誕生にあたっては、安倍さんが入閣するといううわさが取りざたされました
安倍 (入閣は)全く考えていませんでした。首相を辞任して1年。国民に迷惑をかけたので、まずは次の選挙で信任を得ないといけない。そこに集中したいと思っています。幸い元総理の肩書があるので、外国に行けばその国の政治指導者と会えます。その立場を生かし、日本の存在を発信していきたいですね。

=おわり

【会想録】 ■真面目で一生懸命
安倍さんはお父さん(晋太郎さん)の外務大臣の時代から存じております。二十数年前の話ですが。 安倍さんご家族とはいいお付き合いをさせていただいている仲です。昭恵夫人も親しい友人の一人です。安倍さんは真面目で、一生懸命な方で、今まで培った総理の経験を生かしていただきたいと願うばかりです。奥さんと二人三脚で頑張って欲しいと思います。

【プロフィル】安倍晋三
あべ・しんぞう 成蹊大学法学部卒業後、神戸製鋼所勤務などを経て、1993年衆院選に初当選(現在連続5期)。自民党幹事長、内閣官房長官などを務めた後、06年9月第90代内閣総理大臣(07年9月まで)。54歳。山口県出身。

ムルアカ ニッポンをきく20 - ドクターシーラボ社長 石原智美さん


20回目となる「ムルアカ ニッポンをきく」の今回のゲストはドクターシーラボの石原智美社長。
社長に就任直後にジャスダック上場、2年後には東証1部上場の経営の秘訣(ひけつ)を語った。逆宣伝ではないかという周囲の懸念をよそに、「私も愛用しています」を連発するムルアカ氏の質問にしっとりと受け答える様はさすがだった。

◆米経済の影響少ない
ムルアカ 私は御社の商品使わせていただいていますが、CMで有名な主力商品の「アクアコラーゲンゲル」は、コラーゲンが豊富で、手入れが簡単でしっかり潤いますね
石原智美ドクターシーラボ社長 おかげさまで男性ファンの方も多いんです。「アクアコラーゲンゲル」は、4月に1000万個の累計販売を達成しました。9月には医薬部外品認可を得ましたので、商品名も「薬用アクアコラーゲンゲル スーパーモイスチャー」に変わります。
ムルアカ デジタル化が進めばテレビ映りがよりはっきりするので、特に男性は気をつけないと人気がなくなる。私は昔からないですけど。それはともかく、米国経済悪化が懸念されています。化粧品業界への影響は
石原 業界自体には影響は少ないと考えております。美容関連の業界は不景気に左右されにくいと思います。女性の美への要求は永遠のもの、むしろ最近はお化粧をし始める方の低年齢化が進んでいて、スキンケアしようという人が増えています。ただ間接的な影響はあるかもしれません。当社の販路は通信販売が50%、残りが百貨店(カウンターでの対面販売)やバラエティーショップ(その他ドラッグストアや調剤薬局への卸売り)ですが、百貨店の売り上げが鈍っているという意味での影響はあります。

◆メディカルコスメ
ムルアカ 社名のラボは研究室の意味ですよね。なぜそんな社名にしたんですか
石原 当社の商品は皮膚科の先生が製品開発を行っている点で他社と異なります。もともと会社自体が皮膚科クリニックから生まれているんです。10年前、皮膚のレーザー治療を行っていた患者さんから肌の悩みを聞き、そこから肌にとって不必要な成分を使わない無添加の化粧品販売を始めました。社名の「ドクター」は、医師である会長の城野親徳がつくっているからです。「シー」はコラーゲンの頭文字に加え、10年前にはアトピー性皮膚炎に海に由来する成分が効くとされていたので、海(SEA)の意味もあります。ロゴは病院から始まった会社なので白と赤にこだわりました。
ムルアカ メディカルコスメには安心、安全というイメージがあります
石原 これからはみなさんが自分で身を守らなければならない時代です。当社はメディカルコスメ(の重要性)に気づくのが早かったとは思います。ただ世界的には早いとはいえないんです。実は、米国のスキンケア市場の半分以上をメディカルコスメが占めているんです。日本市場も米国に追随していくでしょう。
ムルアカ 社長は会社を1999年の設立から、まもなく東証1部に上場させました。上場を急がれたのはなぜですか
石原 3人ぐらいで始めた会社なので、徐々に社員が増える中、会社としての目標を持ちたいと思ったんです。知名度を挙げるのも狙いでした。だから4年目でジャスダックに上場したんです。その後東証1部に上場しました。今年10年目にしてようやくちょっとだけ余裕ができたので、これからもっと社会貢献して、とにかく元気な世の中にしたいですね。
ムルアカ 日本の女性は数十年前に比べてものすごくキレイになったように思います。ぜひ、男性もキレイにしてほしいものです
石原 女性の場合は本能的にキレイになりたいと思っています。ただ、どうしても簡単に楽にキレイになろうとするところがあります。そこにビジネスのニーズがあると思いますし、一方、男性については先日、面白い話をうかがいました。「女性がカップルを見るときは女性を見て、その後男性も見る。一方で男性が見るときは女性を見ただけで終わる」というんです。なるほどと思いましたね。男性は他の男性を見て自分を磨こうとしないんですね。ビジネスのヒントになるかもしれません。

◆世界進出も視野
ムルアカ 見た目は重要ですからね。男性が女性をふったという話はあまり聞きません。要は女性をふれるくらいの心の自信が大事なんだと思います。ところで東証1部上場企業のトップとして、世界に進出されるおつもりは
石原 現在、台湾の百貨店で11店舗を運営しています。今年1月にはクアラルンプールの伊勢丹にも新店舗をオープンしました。あとはハワイに1店舗、北米にも2店舗あります。まだ売り上げ規模は少ないですが、メディカルコスメ市場は世界的に拡大していますし、日本の化粧品は世界中で評価されていますので、国内リーディング企業として世界に広めたいですね。
ムルアカ 肌ケアの秘訣は
石原 いまさらながらですけど、赤ちゃんからお年寄りまでとにかく保湿が大事。老化は単に年齢を重ねるだけでなく、皮膚に水分がなくなるのが最大の原因なんです。女性はどんどんキレイになるべきだし、女みがきをすごく意識してほしいですね。
ムルアカ ひと口に化粧品といっても安全が懸念される商品も中にはあります
石原 スキンケアで肌を傷めるケースもありますが、どうしても入れないといけない成分もあるんです。保存料もいかに少なくし、自然治癒力を引き出すことを狙いにしています。そうじゃないと、もともと肌には治癒力があるのに、自分で働かなくていいと判断してしまうからです。日ごろの努力で肌質を変えることが大事です。
ムルアカ 今後の目標を教えてください
石原 国内は122店舗(今年7月期)で商品を取り扱っています。そのうち百貨店は79店舗。百貨店での100店舗を目指しているので、まずそこを達成したいですね。でも最大の目標はお客さまの肌トラブルを解決すること。これは今後も変わりません。(構成・井田通人)

【会想録】 ■世界中で活動
 石原社長は大変若く、会社を上場会社にまでして大成功しています。魅力のある会社で日本の女性を美しくするため全世界を走り回っています。ドクターシーラボのためであるならば場所を選ばずどこでも活動していることに頭が下がります。もっともっとこのような女性経営者が生まれて欲しいと願うばかりです。Good Luck

【プロフィル】石原智美
 いしはら・さとみ 1966年生まれ。専門学校を経て皮膚科医師、城野親徳氏(現会長)の医院に勤務時、ドクターシーラボ設立にかかわる。2002年から社長。03年3月にジャスダック、05年2月に東証1部上場を果たした。

ムルアカ ニッポンをきく15 - 駐日イスラエル大使 ニシム・ベンシリトリットさん


■日本文化に尊敬の念
「ムルアカ ニッポンをきく」の今回のゲストは駐日イスラエル大使のニシム・ベンシトリット氏。
ムルアカ氏は何度も訪れているほどの大のイスラエルびいき。世界最高ともいわれる情報機関を持つ国の内情に切り込んだほか、魅力ある風土を賛美するとともに、日本との良好な関係にも話は及んだ。

ムルアカ 昨年就任したシモン・ペレス大統領は、国際政治において横綱級とも言える人物ですね
ベンシトリット駐日イスラエル大使 建国の父であるベングリオン初代首相の継承者として、外相や首相などを務め、イスラエルが技術立国として発展する基礎を築きました。世界に影響を与えられる立場で、ノーベル平和賞も受賞し、近現代で最も偉大な政治家として数えられています。
ムルアカ ペレス大統領には、副首相兼外相在任中にお会いしたことがあります。日本政府にはぜひとも、ペレス大統領を国賓として招いてもらいたいものです
ベンシトリット 今年の2月にエフード・オルメルト首相が来日し、天皇皇后両陛下に謁見(えっけん)し、福田康夫首相との懇談をしました。ペレス大統領が近い時期に訪日することは、両国間にとってよいことです。そのための機は熟しています。
ムルアカ イスラエルといえば、世界最高の情報機関を持つといわれる情報大国といえるでしょう。改めて情報レベルを教えていただけますか
ベンシトリット 建国以来、安全保障を安定させる必要に迫られ、IT(情報技術)が発達しました。また天然資源に恵まれていないため、日本のように人を資源として考えてきました。国民皆兵国家であり、18歳で男子は3年、女子は1年9カ月の兵役に就かなければいけませんが、ここで最新のIT訓練を施しています。世界のどの専門機関より深く教育するため、兵役を終えるころには高度なIT知識を持つことになります。イスラエルは人口700万人ほどの小さな国家です。しかし人口1万人当たりの科学技術の研究者・技術者の数は135人で、世界有数の高率となっています。ちなみに米国では88人です。インテル、マイクロソフト、ノキア、ドイツテレコム、ボーダフォンなどの世界的IT企業が研究所を構えています。ベンチャーも含めるとIT企業の数は、米シリコンバレーに次いで世界2位となっています。海外の科学研究機関との相互交流も盛んで、科学技術研究における国際協力で重要な役割を果たしています。人工衛星も軍事だけでなく、平和利用がさかんに行われています。イスラエル製の人工衛星は高品質で長持ちすると、その技術レベルは高く評価されています。
ムルアカ 古い歴史を持ち、死海などの多くの観光地を抱えているため観光客が増えています
ベンシトリット イスラエルはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の聖地で、何千年も前からの歴史遺産が豊富です。平和で静かな国であり、素晴らしい旅を体験することができます。世界で最も低い場所である死海も有名です。死海では塩や泥パックを使ったトリートメントが美容にいいと、世界中の女性が訪れています。テルアビブでは、東京やニューヨークと変わらないような大都市生活を楽しむことができます。信仰と歴史と現代が重層的に折り重なった魅力にあふれています。今年は日本人の観光客数が昨年の同時期より56%増えているというデータがありますが、まだ少ない数字です。危険な国というイメージを持たれているからでしょう。しかし、私の知る日本人でイスラエルを訪れた方々は皆、イスラエルで危険を感じたことはなかったと言っています。日本からの観光客が少ないのは、両国間に直行便がないことも原因の一つでしょう。一足先にソウルとテルアビブの間で9月25日から週3便、大韓航空が直行便を運航します。
ムルアカ 私は何度もイスラエルを訪れています。その経験から世界一安全な国だと感じています。また、死海でトリートメントの体験もしています。私は日本で20代に見られたこともありますが、これも死海のおかげかもしれません。自然環境も素晴らしく、特に海はフランスのニースより美しいのではないでしょうか。韓国が直行便を就航させますが、中国も追随するでしょう。日本政府もここで重い腰を上げないと、アジアでのプレゼンスを失ってしまいます
ベンシトリット イスラエルを理解していただきありがとうございます。日本との関係は良好で、年を追うごとに強くなっています。イスラエルと日本の両民族には多くの共通点があります。古い歴史を持つ国であり、天然資源に恵まれていないので、人を資源として勤勉に働くことで成功してきました。また、両国は大国が近隣に控え、周辺に比べると小さい国土だと認識しています。このため日本はイスラエルの置かれた立場をよく理解しています。
ムルアカ 第二次世界大戦では、ナチスから逃れてきたユダヤ人6000人の命を救った日本の外交官、杉原千畝もいます
ベンシトリット 自らの意志で救ってくれたことをイスラエルは高く評価しています。イスラエル人は日本文化に対する尊敬の念も強く持っています。これまでお話ししたように共通の文化や生活、習慣などがあるので日本への親近感もあります。それは日本語学習熱の高さや、日本食の人気、また日本とのビジネスを熱望している会社があることなどが、それらの証拠となるでしょう。
ムルアカ これだけは日本人に伝えたいというメッセージをどうぞ
ベンシトリット イスラエルは中東で唯一の、本当の意味での民主国家です。この点においても日本とは共通の価値観を持っています。古い歴史と豊かな文化に加え、両国民は共に平和と自由を求めています。しかし、日本では紛争にばかり目を向けられて残念です。イスラエルを訪れる方が旅行中に紛争の影響を感じることはありませんし、紛争は必ず解決します。イスラエルには日本人がまだ気づかない素晴らしい面がたくさんあります。ぜひ一度イスラエルを訪れてください。(構成・佐竹一秀)

≪会想録≫ ■モバイル外交官
トップクラスの大使です。まさに最高の外交官である、という印象を受けました。お会いする度にいろいろ教えられました。モバイル外交官であります。 この記事を読む方々に理解してもらえるのは、イスラエル民族、ユダヤ民族は優れていると共に聖なる父(神)が初めて人間に話した言葉がヘブライ語(イスラエルの言語)であるということに尽きます。ぜひ、イスラエルに行きましょう。

【プロフィル】ニシム・ベンシトリット
Nissim Ben Shitrit 1949年モロッコ生まれ。81年ヘブライ大学卒。69年外務省入省。73年在トルコイスラエル大使館、82年在米国ワシントンD.C.イスラエル大使館に赴任。イスラエル外務省の職員、外交官全員の名前も顔も知り尽くしている。87年人事管理部部長、93年官房担当次官補、2005年筆頭次官補兼官房長。07年9月駐日イスラエル大使就任。

ムルアカ ニッポンをきく12 - コマツ会長 坂根正弘さん


「ムルアカ ニッポンをきく」の今回のゲストは坂根正弘コマツ会長。
ヤンキースの松井秀喜選手のスポンサーとして知られているが、85%が海外での売り上げという松井選手以上のグローバル企業。ODAやアフリカ開発、小泉改革など共通の話題で盛り上がった。

ムルアカ 栃木県の小山工場を見学させていただきました。大変な世界規模の大工場でした。ところでコマツの創業はどんなビジネスだったのですか
坂根正弘コマツ会長 当社はもともと銅鉱山の経営会社が採掘用機械を(自分で)製作したところから出発したんです。
ムルアカ 御社といえば松井秀喜選手を支援されています
坂根 彼は石川県能美町(旧根上町)出身で、当社の工場がすぐそばにあります。お父さんとおじいさんは当社で働いていたんです。私としては巨人への入団時からスポンサーをしたかったのですが、国内のお客さまがすべて巨人ファンというわけではないのでできなかったのです。ヤンキースに入団したのでスポンサーになりました。若いのに信念を持っているし、自分がやれることを精いっぱいやるだけという姿勢を貫いている。当社の工場に来られるときの態度も真面目で素晴らしい。
ムルアカ 2008年3月期の連結売上高は2兆2430億円。大変な大企業です
坂根 私が社長になった2001年度は約1兆円でした。昨年社長を退きましたが、6年で倍になりました。90年代にはほとんど成長しなかったんです。先進国は社会インフラができあがっていて、更新需要だけですから、景気がよくてもなかなか成長には結びつきません。しかし、中国などBRICs諸国が21世紀に入り成長し始めました。その他の新興国も元気になって成長ステージに入った。建設機械分野の売上高のうち、今期見通しで85%は海外です。(これほど高いのは)日本では珍しい。
ムルアカ まだまだ伸びるでしょうか
坂根 伸びますね。既に全世界のGDPに占める日本の割合は10%以下になっていますから、当社の国内売り上げも10%くらいになってくるのではないでしょうか。
ムルアカ うらやましい。ただ、鉱山が多いアフリカには販売店はあっても工場はない。いかがですか。それと会長には5月末のアフリカ開発会議(TICAD)に経団連のサブサハラ地域委員長(当時)としてご出席いただきました。アフリカの今後をどう思われますか
坂根 コマツはBRICsのsを大文字にしています。Sは南アフリカ。BRICSのうち当社の売り上げはまず中国、次にロシアと南アが並びます。インドやブラジルより大きいんです。ただ工場となると…。南アに多い鉱山では、いわゆる都市土木と違い、大きな機械が使われます。モデルごとには年に数台売れるものが多い。一方つい最近新工場建設を発表したロシアは都市土木が需要の6割を占め(建機が)いっぱい使われる。南アはまだ3割程度ですが、次に工場建設があるとすれば南アといっています
ムルアカ 私はアフリカの発展には日本の技術が必要だと思っています。まだ都市土木以前の段階ですが、その段階でも御社には支援できることがあると思います。
坂根 日本は2000年ごろはODA出資額が世界1位だったのが、今は5位ぐらい。ODAは世界への税金みたいなもの。私は資源は国益と考えて行動すべきだと思います。一方で支援は(相手の)国民が分かることを地道にやるのがいい。国際協力機構(JICA)の職業訓練のような技術支援が日本らしいと考えています。コマツは南アで建機オペレーターの養成学校を運営しています。文字を書くことから教えないといけなくて、(修得まで)段階が6つもありますが卒業生が出始めました。卒業と同時に働く場のある教育を日本が広げればと思います。TICADでも自動車修理工の学校を作ればどうかと言いました。とにかくTICAD、サミットを機に具体的に行動しないと。
ムルアカ 小泉改革と同時期に会社の構造改革を積極的に進めてこられましたが
坂根 私が社長になった02年3月期に創業以来初の赤字を計上しました。その直前に小泉さんが構造改革を言い出し、それに鼓舞されて私も構造改革と言い始めた。4つのことを肝に銘じました。まず株主をはじめ社員や販売代理店、部品メーカーなどに対し経営状況を「見える化」すること。2つめが成長とコストを分けること。3つめは強いところを磨き、弱いところを改革すること。4つめは大手術は1回で終えるということです。2つめに申し上げた成長とコストを分けることが、すべての出発点でした。成長論者は、コストは成長すれば吸収できると主張しますが、将来の成長をあてにせず、まず徹底してコストを詰めることが必要です。そのために、コマツはコストを(材料費などの)変動コストと(間接部門の費用などの)固定コストにはっきり分けました。コマツでは世界8カ国で同じ製品を作っているので、コスト比較ができます。日本のモノづくりコストをみると、変動コストは当時世界でもっとも安いことがわかりました。問題は固定コストだったのです。それで固定コストを2年間で500億円減らしました。
ムルアカ 小泉改革をどう思われますか
坂根 私は小泉改革を今も支持していますが、「改革なくして成長なし」という言葉だけは違います。改革はコストを主眼にすべきで成長と一緒にすべきではありません。そしてコストも現場のコストと固定費をはっきり区別すべきです。たとえば、道路建設については、総費用の中で本当に工事代金として支払ったお金(直接コスト)がどれだけあるのか。それ以外の固定費はどれだけあるのか。まずは、これを国民に明らかにするべきです。作る作らないの議論以前に、まず(成長につながらない)それ以外の固定費を減らさないと、本当に必要な現場のコストばかりにしわ寄せがきてしまい、現場が疲弊するばかりです。「成長とコストの分離」は一番重要です。 (構成・井田通人)

【会想録】□人の話をよく聞く人
坂根会長とお会いしたのは初めてですが、“大物”なのに腰が低く、人の話を聞く耳を持ち、日本の将来を一生懸命考えていらっしゃる方です。もちろん、自分の企業のますますの発展にも全力を尽くしておられます。対談の全てはスペースの都合で載せられませんが、いずれ多くの方々のために本として紹介したいと思います。

【プロフィル】坂根正弘
さかね・まさひろ 大阪市立大工卒。1963年小松製作所(現コマツ)入社。89年取締役、99年副社長などを経て、2001年6月社長。07年6月から会長。日本経済団体連合会評議員会副議長、環境安全委員会委員長、日本ロシア経済委員会副委員長。日中経済協会副会長。67歳。島根県出身。

ムルアカ ニッポンをきく10 - CISAC(著作権協会国際連合)事務局長 エリック・バティストさん


□アジア初の開催  
ムルアカ 今日はCISAC(著作権協会国際連合)事務局長を務めるバティストさんに、著作権の世界的な現状について伺いたいと思います。まずはCISACの役割と、今回の来日目的を伺いたいのですが  
バティスト事務局長 18年前から日本には何度も来ています。今回はCISACの会議が目的です。CISACはさまざまな分野の著作権を管理している団体の国際機関ですが、今回は絵画や写真、彫刻などが対象の会議で、この分野ではアジア初。世界約30団体が集まりました。  
ムルアカ デジタル化やネットワーク化、グローバル化が進展しています。著作権の分野では何が問題になっているのでしょうか  
バティスト とても広いご質問ですね。確かにそうした動きによって芸術や文化に大きな変化が起きています。良い点としては、より多くの人々が、容易に、さまざまな文化に触れられる点です。例えばインターネットの普及で、日本の音楽が欧州や米国などの海外からダウンロードして簡単に聴ける。ただ問題もあるのは事実です。  
ムルアカ 大きな問題としては、音楽でも画像でも、質を劣化させずに簡単にコピーできることがあります。その影響や問題点、対応をどのようにお考えですか  
バティスト 課題は3つあります。1つは技術、2つめはビジネス、そして最後に文化的なものです。技術的な課題は違法コピーのコントロールということですが、完全なコントロールは難しい。もちろん、われわれは戦いをあきらめる気はありません。プロバイダーに(違法コピー防止への)取り組み強化を要請するとか、さまざまな国で保護への取り組みが行われています。しかし違法コピーは増えており、ネットワーク上で(国境を越えて)広がっている。現状ではそれに素早く対応できていない。2つめのビジネス的な課題は、サービスのエリアが広がっていることに関するものです。今の著作権管理システムは、前世紀にそれぞれの国ごとの事情に合わせてデザインされました。これまではうまく機能してきましたが、今後もうまくいくとは限らない。例えばある番組が25カ国で放送される場合、複雑すぎて許諾を得るのが大変になっている。国の数が多いEUで大きな問題となっています。EU加盟国にはそれぞれの著作権法がありますが、今は全体を統合する仕組みを模索しているところです。最後の文化的な課題は、著作権への理解を深めていくことです。デジタル技術やネットが普及した後の違法コピーの影響は甚大で、重要な問題です。明確にいっておきたいのは、われわれは作品が一般に届くのを止めたいとは思っていないということです。新しいビジネスモデルのアイデアに対しては、オープンな態度で臨んでいます。最終的に(違法コピーに対し)法的措置をとることはあっても。重要なのは著作物を使えなくすることではなく、適正な報酬を(創作者に)還元していくことです。

□「ダビング10」は多い  
ムルアカ 日本では私的録音録画保証金のあり方について、権利者とメーカーが対立しています。欧州はいかがですか  
バティスト 欧州でも数年前に制度を廃止する動きがありました。この動きはその前からあり、彼らはEU首脳と接触し、補償金廃止へ積極的に動きました。彼らは主に2つの議論を重ねています。1つは欧州特有、もう1つは日本と共通した議論です。EU27カ国でそれぞれ補償金の料率が異なり、調整する必要があるのが、欧州特有の問題。もう1つは新しいDRM(デジタル著作権管理)技術によってコピーは完全にコントロールできるので、補償金制度はいらないという考えです。日本では制度廃止の議論がありますが、欧州ではEU、消費者ともに、DRMがあろうとなかろうと制度は必要との結論に達しました。もちろん、メーカーにとっては利益を増やしたいですから、新たな動きをとろうとしています。彼らは「(廃止の代わりに)価格を下げる」といっていますが、欧州の人々はみな信じていません。  
ムルアカ 日本ではハードディスクに録画したデジタル放送番組のDVDなどへのコピー回数を、従来の1回から10回に増やした「ダビング10」が最近始まりました  
バティスト この問題については事情をよく把握していませんが、権利保護は大丈夫なのかと思います。10回というのは多いし、それに対し補償金を得られないというのは問題だと思います。
ムルアカ 著作権の保護期間は欧米では著作者の死後70年となっています。日本は50年。日本でも保護期間の延長が検討されていますが、欧州で70年となった理由や背景はどうだったのですか  
バティスト かつて世界的に著作権の保護期間を50年から70年に延ばそうという動きがあり、欧州も70年に延びました。著作物が後になって売れることもあるからです。(期間が延びて)権利を相続した人が恩恵を受けるようになりました。ビジネス面でもアーティストに投資する上では、保護期間が長い方が有利。グローバルな時代ですから、日本にとっても現在の欧州に合わせるのはノーマルなことではないでしょうか。  
ムルアカ 日本に課せられている戦時加算制度について、CISACのお考えは
バティスト 日本は戦時中に連合国の著作権を保護していなかったとの理由により、サンフランシスコ平和条約で約10年の保護期間延長が課せられています。日本は60年にわたりこれを誠実に履行してきました。CISACは昨年6月の総会で、このような不平等な取り決めについて、関係国の団体が権利行使しないよう決議しました。その時期は日本が70年に延長したときをめどと考えています。
ムルアカ CISACのパリ本部には日本人がいません。JASRAC(日本音楽著作権協会)から職員を受け入れることはできないのですか
バティスト これまでもJASRACの貢献には、常に敬意を払っています。CISACには地域事務局があり、アジア太平洋ではシンガポールにあります。JASRACは研修への講師派遣など、さまざまなアイデアを出してくれています。今まで以上に指導的役割を果たすことを期待しています。(構成・井田通人)

【会想録】 □ヨーロッパの天才  バティストさんにお目にかかるのは初めてですが、非常に紳士的な方でヨーロッパでは「天才のバティスト」と呼ばれているそうです。私と同じ年齢で、しかも同じ月の生まれ。まさに“天才”ばかり! 彼はアジアに対し興味を持っていて、対談で私がアジアの代表が日本であることを徹底的に彼に理解させ、それを彼も十分納得してくれたことをうれしく思っています。

《 プロフィル 》エリック・バティスト  1961年フランス生まれ。パリ政治学学院、国立行政学院卒。国務院監査役および調査官などを経て、99年から115カ国・219団体で構成されるCISAC(著作権協会国際連合)事務局長。フランス政府からシェバリエ芸術文化勲章を受章。

ムルアカ ニッポンをきく07 - 衆議院議員 鈴木宗男さん


□世論を大事にしたい  
ムルアカ 今日は厳しい質問もさせていただきますがよろしくお願いします。  
鈴木宗男衆議院議員 どうぞどうぞ。  
ムルアカ まず2002年に逮捕され、05年の衆議選で返り咲くまでを振り返っていただけますか。  
鈴木 当時はハリケーンのようなメディアスクラムによるバッシングでした。とにかく(逮捕容疑は)事実ではない。何でも「宗男が悪い」とされ、どうにもならなかった。マスコミは反権力といわれるが、権力に使われている部分がある。権力側は情報を流す。情報がないと、メディアは役割を果たせない。小泉政権はそれをうまく使った。(小泉元首相は)田中真紀子さんに(外相を)辞めさせるときも、私を使って自分への風当たりを弱めた。よくいえば権力の使い方にたけた、悪くいうと世論を一方的に作り上げていった。私は政治家としてやましいところはありません。後ろめたさがなかったから(逮捕後の苦労にも)耐えられた。友人の松山千春さんや家族、秘書、後援会のみなさんは信じてくれています。「とにかく権力と戦え」と。私も「負けてたまるか」と思いやってきた。その経験があったから、今は全てそよ風に感じます。  
ムルアカ 私は昔、ザイール(現コンゴ民主共和国)でモブツ大統領のそばで大統領のスペシャルアシスタントをしていました。外国のメディアは彼を独裁者として扱ったけど、近くにいた私にいわせると必ずしもそうでもない。(失脚は)誰がどのような目的で仕組んだと思いますか。今後の裁判はどう戦われますか。
鈴木 検察は初めから「鈴木逮捕ありき」でシナリオストーリーを作っており、まさに国策捜査でした。マスコミも最初は「ムネオハウス」の偽計業務妨害で捕まると連日報道したが、(いまなお)捕まっていない。そしたら次に、北方領土でのディーゼル発電所建設に関し、バックマージンをもらったから捕まると書き立てた。これも裁判になっていない。さらに次は辻元(清美)さんが、アフリカのODAにからめて、私を「疑惑の総合商社」といった。その彼女は2000万円以上の税金を詐欺している。なのに私が悪いとされた。権力側の国策捜査は怖い。でも国会に戻れた。世論を大事にしたい。反省しないといけないのは、権力側にいるときは“前”しかみていなかった。でも今は“横”も“後”もみることができる。私は特に(国民の)“声なき声”を大事にしたい。

□ねじれ国会10年続く  
ムルアカ 私も先生の逮捕は仕組まれたものと思います。みんなようやく「あの事件は何だったのか」と思い始めている。 ところで自民と民主以外の第3極、平沼赳夫先生の動向などが注目されていますが、次の衆院選をにらんだこの動きをどうみていますか。  
鈴木 今のねじれ国会の形は10年は続く。次の衆院選が終わったらいやおうなしに政界再編が起こる。自民も民主も過半数はとれない。その中で私もなにがしかの役割を果たしたい。6月11日に憲政史上初めて参院で問責決議が可決されました。その翌日、衆院では与党が信任決議案を出しましたが、国民から信用されていなのに出した与党も無責任だし、欠席した野党も無責任。野党は解散か総選挙を迫るくらいでないと。政界再編で、責任ある政権を作ることが必要。そのときに私たち新党大地や、田中康夫さん、平沼さん、綿貫さんの国民新党などがどういう役割を果たすかがポイントになる。  
ムルアカ 新党大地の中にはアイヌの方で立候補した人もいますね。鈴木先生はアイヌの権利問題に力を入れてきました。  
鈴木 今の自民は官僚、民主は組合が中心。国民の目線にあった政治が求められる中、地域政党が生きる余地はある。新党大地はアイヌ民族をずっと大切にしてきましたが、6月6日には、国会がアイヌを先住民族と認める決議をし、内閣も認定しました。これは歴史的なこと。私はこの決議をずっと促してきました。アイヌの名誉、尊厳を訴えてきたので、内閣の姿勢はありがたい。ロシアの大統領に「日本もやっとグローバルスタンダードに立ち、アイヌ民族を先住民族と認めた。北方領土はアイヌ民族が先住民族です。どうか歴史の事実を理解し、領土返還して欲しい」と言えます。またサハリンでは天然ガス油が掘られています。「この地もアイヌ民族が開拓したもの。優先的に天然ガス油を日本に回してほしい」とも言えます。

□人生には逆転もある  
ムルアカ 北方領土問題は進んでいませんけど。  
鈴木 私が逮捕されなければ(歯舞、色丹の)2島は日本に戻せたし、(国後、択捉の)残り2島も戻す自信はあった。  
ムルアカ 福田内閣は「お年寄りイジメ内閣」といわれる。  
鈴木 福田内閣は次の衆院選まで。そして選挙で国民の判断をあおぎ、次のリーダーを決めればいい。この3年で3つの内閣が替わったのに、国民の信を受けてないのは異常。自民の姿勢は自己保身。国民は選挙を望んでいる。  
ムルアカ ところでプライベートではフルマラソンに力を入れていらっしゃいます。  
鈴木 03年8月29日に保釈され、9月23、24日と人間ドックに入りました。そしたら帰ってきた答えが「胃ガンです」。しかも転移の可能性があると。再度調べたらそうだった。人生終わったと思った。03年には選挙があったのですが、家族に説得されて断念し、手術しました。幸い、6段階のうちステージ2か3。神か仏がいると思いました。胃がんの事実は、だまっていたらかえって揣摩憶測を呼ぶので公表しました。全国のガン患者から激励を受けましたが、つらかったのはある手紙。「私の時間は限られているが、与えられた命を全うするので先生もがんばって」という内容でした。尊い激励をもらい感動しました。私は療養が明けて5カ月後に皇居2周マラソンに出た。健康管理もあるが、政治家として人生あきらめない。生きていれば逆転もある。これを訴えるためにもマラソンしている。人生、山あり谷あり。私の人生は地獄を経験し、まさに波瀾(はらん)万丈。もう還暦ですが、新しく生まれ変わりたい。小泉内閣以降、勝ち組と負け組の差がはっきりし、弱肉強食になった。このやり方は日本に合っていないと思う。努力した分だけ、それなりの社会的評価があっていい。その意味で人生あきらめるなといいたい。(構成:井田通人)

【会想録】 □アフリカと日本の架け橋  
鈴木宗男という人は、一言でいうと人情味のある人。長いようで短い20年、仕事を一緒にしてきた仲間であることに違いない。非常に誤解されたイメージをつくられましたが、自分自身に対して他人より厳しい人。アフリカと日本の架け橋として日本の国益のために数々のアフリカの政策をつくってきました。でも決して自分の手柄をひけらかすことのない人です。裁判は大変でしょうが、無罪を祈っています。

《 プロフィール 》鈴木宗男 すずき・むねお 1948年北海道生まれ。拓殖大学在学中から中川一郎の秘書を務め、1983年衆議院議員選挙に初当選。橋本内閣の国務大臣・北海道・沖縄開発長官、小渕内閣内閣官房副長官を歴任する。2005年歌手の松山千春さんとともに新党大地を結成し、代表に就任。9月の衆議院議員選挙で当選する。

ムルアカ ニッポンをきく17 - 観音温泉・滝野川自動車 鈴木和江社長


「ムルアカ ニッポンをきく」のゲストは静岡県の観音温泉の社長でもあり、滝野川自動車の社長でもある鈴木和江氏。
事業を受け継ぎ、急成長させた現代版「細腕繁盛記」でもある。浴衣を着たムルアカ氏との温泉談義だが、話題は経営者の心構えなどシビアなものとなった。

■自然や自分と素直に
ムルアカ お久しぶりです。鈴木社長とのおつき合いは、アフリカの大使たちのおつきあいの関係でもう15年ぐらいになりますか
鈴木和江観音温泉・滝野川自動車社長 いま常務をやっている私の娘が中学生のころでしたからね。
ムルアカ 伊豆の下田というと海を連想しますが、ここは山奥なのに人気がありますね
鈴木 みなさまにかわいがっていただきまして、本当にありがたいと思っています。観光経済新聞の「にっぽん温泉100選」で「観音温泉」も67位にランクインされました。
ムルアカ その秘密は
鈴木 やはり第1は泉質でしょうね。ここの源泉はボーリング会社からも「世界中の温泉を掘ってきたけどこんな泉質は初めて」と言われたほど。源泉が1号、2号、3号の3本とも同じなんだから不思議なものですよ。びっくりしたのが湯をくみ上げる管が40年もたっているのにすごくきれいなんです。温泉はPh9・5のアルカリ性で、すべすべした超軟水なんです。糖尿病が改善したとか、アトピー性皮膚炎が良くなったという利用者が絶えません。そうしたお客さまがリピーターになったり、さらに口コミで新しい方が来られたりして、評価につながっていったのだと思います。宣伝費を特別かけていませんし、こんな奥下田の山間なのにね。
ムルアカ そんな奥下田に温泉旅館を建てようという発想はどこから生まれたのですか
鈴木 父(小林運正氏)は、東京の4大タクシーと呼ばれた滝野川自動車を創設した事業家でした。その父がタクシー部門を他社に譲り、下田市郊外の国道から4キロも奥の山林を取得して開発を始めたのが1963年です。私はまだ高校生でしたが、現地へ行くと飯盒(はんごう)炊きでいつも穴掘りをしていました。そして何度も失敗して掘り当てたのが今の第1号源泉です。その時一緒に観音像に似た石が出土したので観音温泉と名付けたそうです。それからの父は観音様を信仰し、般若心経を毎日唱えていましたね。

◆クレームに応える
ムルアカ 一般の社会人や学生も良く利用されています
鈴木 こんな所にと地元の人たちも不思議がっていましたよ。五輪選手もトレーニングに来てくれます。
ムルアカ ここにはスポーツ選手だけでなく、首相経験者をはじめ、多くの著名人が宿泊しています。アフリカからも大使や官僚たちも遊びに来ます。まさに国際親善と日本の理解につながりますね
鈴木 それは何と言っても武道精神のおかげですね。心と心が通じ合えば、また必ずお越しいただける。クレームももちろんあります。私は女将(おかみ)も兼ねていますので、現場指導型。お客さまのクレームほどありがたいものはありません。それに応えられたら、また新たな喜びにもなりますし。
ムルアカ 社長がここを経営されてからどのくらいたちますか
鈴木 父が亡くなって後を継いだのが88年です。
ムルアカ その後拡張を重ね、順風満帆に見受けられますが、その秘訣(ひけつ)は
鈴木 皆さんにはそう見えるかもしれませんが、そうでもないんですよ。地震にあったり鉄砲水を経験したり、茫然(ぼうぜん)自失で何をしたらいいのかわからない時期もありました。でも、ひとつ言えることは自然と正面から向き合っているということです。無になることは大切で、自然の中でのんびり風呂につかっていれば、誰もがストレスが解消し、無になれる。私がいろんなことができたのも、今ある環境があったからかもしれません。

◆地球に恩返しする
ムルアカ 社長の事業家としての原点をお聞かせください
鈴木 事業家としてだけでなく、私のすべての行動の基本理念は思いやりの心です。常に人の幸せを願い、相手の気持ちになって奉仕する心の根底にある人間の思いやりこそ、人およびそれを取り巻くすべての環境との調和につながるものと思います。
ムルアカ 大変大きなテーマですね
鈴木 21世紀は自然といかに共生するかが問われる時代です。特にここは温泉という地球の恵みによって生かされているわけですから、そのお返しもしなくてはいけません。うちでは3年前から順次、3基の太陽光発電システムを採り入れ、公害を最小限におさえる工夫をしています。
ムルアカ 自家発電までしてるんですか。で、どのくらいの発電量なんですか
鈴木 3基で60キロワットですから全体の使用量の約3分の1ですかね。旅館で太陽光発電をしているのはうちぐらいじゃないですか。かけた経費と比べれば電気は買ったほうが安いですよ。でも、たとえ1人でできることは小さくても、誰かが始めなければ動き出しませんから。自家栽培を始めた自慢のトマトも、冬になると太陽光で地熱と温度を上げて、甘い芳醇(ほうじゅん)な味を出しています。もちろん水はアルカリ源泉です。地球に恩返しをもっともっとしたいのですが、何せお金がかかるわよね。
ムルアカ 最後に、日本では女性経営者の活躍する場が少ないと思われますが、これからの女性が経営者を目指す上でのメッセージをお願いします
鈴木 女性だから、男性だからじゃないと思います。この年になって感じたのは、人間は何かの役に立つから生かされているんで、自分は何の役に立つかを、なるだけ早く認識し、それに逆らわず自分と素直に向き合っていれば、必ずチャンスは訪れます。事業は浮き沈みがありますから失敗もする。その失敗も、その後の教えと思えば乗り越えられます。とはいえ、こう言う私も何度落ち込んだかしれませんね。(構成・井田通人)

【会想録】 ■真心持つ“母”
鈴木社長は男が顔負けするほど、一生懸命経営者として頑張っております。健康な方も利用しているし、皮膚病の方も大変喜んでいる温泉です。まさにひと昔の日本の真心を持っている母であり、経営者であり、なによりお客様を大満足させる技を持っています。まだ若く魅力もあるのでもっともっと頑張って欲しいと思います。

【プロフィル】鈴木和江
すずき・かずえ 1965年父の小林運正氏が経営していた滝野川自動車に社員として入社。88年社長就任。自動車教習所2校経営。温泉水「飲む 観音温泉」などを商品化。自然栽培を行いエコにも取り組んでいる。61歳。群馬県太田市出身。

ムルアカ ニッポンをきく16 - ひまわりほーむ社長 加葉田和夫さん


今回の「ムルアカ ニッポンをきく」のゲストはひまわりほーむ社長の加葉田和夫氏。
自宅の新築工事を機に、すっかり日本の住宅事情に詳しくなったムルアカ氏は「いい住宅を作る。そのことに尽きる」という加葉田氏の言葉に感心していた。

■物と人 高い質追求
ムルアカ 今日は石川県を中心に急成長されている住宅メーカーの社長として、急成長の秘密や業界の問題や家づくりについて語っていただきたいと思います。まずは気になるのがサブプライム住宅ローン問題。世界中を揺るがしていますが、日本の住宅業界にも重大な影響があるのでは
加葉田和夫ひまわりほーむ社長 業界にとってすごく大きな波ですね。つい先日もある建売住宅メーカーが倒産しました。基本的には金融機関が一気に“貸し絞り”(貸し渋りではなく)を行ったためですね。バブル期のように1坪100万円の土地が150万円、200万円に急上昇するというほどではありませんが、転売で不当な利益をあげさせないために融資を絞っているんです。まだまだ倒産予備軍がいっぱいいるようですよ。
ムルアカ 御社は
加葉田 当社は注文住宅のみを手がけています。不動産屋ではありませんから、幸いあまり影響はありません。というよりも、当社のような注文建設会社は有利になります。この問題を機に一般の方が土地を探し求めやすくなったからです。今までだと駅から徒歩15分圏内は(地元の)不動産会社が買い漁り、一般の方には手に入らなかった。それが手に入れられるようになった。それと注文住宅は一部のローコスト住宅と呼ばれる安価な住宅をのぞくと、(需要が)減っていない。購入者が建てる時期を決めていて、大きくは減らないんです。この時期だからこそ品質の高いものに人は集まります。当社の今期の販売戸数は対前年比で20%増は間違いないでしょう。

◆耐震・省エネ型
ムルアカ 御社は地元の北陸では非常に知名度が高くて、石川県と富山県では販売戸数が大手にまじってベスト10に入るそうですね。そして今後は全国展開を予定されています。まだ設立13年目だそうですが、大手を含む既存メーカーがひしめき合う中で、どうして成長を続けて来られたのですか
加葉田 なぜご指名いただいているかというと、品質の高い住宅をつくる会社と評価されているんですね。逆にいえば、いい住宅さえつくっていれば浸透します。それにつきると思います。
ムルアカ 品質の高い住宅とは
加葉田 特に地震対策。例えば昨年3月の能登半島地震、それまで能登の人には「地震がある」とは思っていなかった。能登に限らずそれで地震対策への関心が一気に高まりました。これから日本のどこで大地震が起こるか分からないですしね。あとサミットで議題にもなった環境問題、特に省エネですね。夏はクーラー、冬は暖房費が安くなる。そんな住宅が基本だと思っています。阪神大震災を機に2001年にスタートした住宅性能表示制度も重要です。住宅の通信簿のようなものがあり、評価書を発行しています。全国には10万社以上の建築会社がありますが、申請数では昨年度8位になります。申請するには構造計算をする必要があって、コストがかかるので各社やりたがらないんです。時間もかかりますしね。当社は性能表示・無垢(むく)の木材・省エネ・耐震の自社基準を下回る家はすべてお断りしています。ここにこだわります。あと当社はリフォームも手がけています。昨期は1年間に1100件を手がけました。それこそ畳の入れ替えといったレベルから。他社の物件も手がけます。かゆいところに手が届くところも、ご支持いただいている理由だと思います。

◆人間性が重要
ムルアカ 私は若い社員の方とお話したことがありますが、非常に優秀です
加葉田 住宅をつくる上で一番大事なのは人間性。どれだけデザインが優れていても、作る人がぶっきらぼうだと付き合いたくなくなる。「君がいたからこそ、この家ができた。ありがとう」と言ってもらえるような人をたくさんつくりたい。社員は企業の財産なのです。ですから発足以来最低年1000万~1500万円の研修費用をかけています。 ムルアカ ところで最近の日本の住宅はコストを下げるため安っぽい素材を使っています。本当は自然の素材を使えばいいのに。これではくつろげない。もうちょっと自然素材があってもいいし、子供のまわりに自然があってもいい
加葉田 ムルアカさんは自然の多いところにお住まいですよね。
ムルアカ やはり1本でも自宅に木があれば感じるイメージが違います。だから木造の注文住宅はいいと思うんです。ただ、注文住宅は高いというイメージがあります。私は必ずしもそうは思わないんですが。建売住宅より高いとみなさん思っていらっしゃるようです
加葉田 結局、後で買い替えると高くつくんです。(建売住宅を買った人の中には)10年で買い替える人もいます。安物買いの銭失いになることが現実的にあります。そう考えると注文住宅はむちゃくちゃに高くはない。本物のいい木を使い、メンテナンスをきちんとすれば(木造の注文住宅は)長くつきあえる。1000年の木で作った家は1000年もつといわれますからね。
ムルアカ 全国展開の予定ですが
加葉田 まずは(人口の)3分の1が集中している首都圏を中心に展開します。市場が大きい上、はっきりいって住宅の品質が良くない。首都圏の人は品質よりも便利性だけで家族の幸せの源である家を決めている。これは間違いです。品質のいい建物、心温かい人間性、この「物と人の品質」の2つがしっかりしていれば、首都圏での成長はいけると思います。
ムルアカ 最後に購入を検討されている方にアドバイスを
加葉田
 まず、メーカー選びでは「何でもやります」というところは断った方がいいですね。お客さまにはこういう家を建てたいというイメージを持っていただきたい。そして、もっともっといろんなことをメーカーにぶつけ、質問してください。ユーザーはもっとわがままであっていいのです。思い切ってケンカしてください。その中で信頼できる会社かどうかの判断をした方がいいです。(構成・井田通人)

【会想録】 ■欧米以上の家に情熱
加葉田社長は田舎から出てきて、一生懸命日本の大企業を目指して欧米以上の家をつくることを展開しています。暖かい家、住みやすい家をつくり、また思っていることをぶつけて話のできる社長だと思います。皆さんも相談してみてはいかがでしょうか。

【プロフィル】加葉田和夫 かよだ・かずお 
石川県立工業高校卒業後、1975年金沢の住宅メーカーに入社。常務就任後、顧客重視の注文住宅メーカーを目指して退社。1996年8月ひまわりほーむ設立。石川県木造住宅協会常務理事、住宅長期保証支援センター北陸部会委員長。51歳。石川県出身。

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